Q:給与が20万円で、70歳まで厚生年金に加入して働いた場合、老齢厚生年金額はどうなるのでしょうか
「64歳男性ですが、65歳以降も厚生年金に加入して働いた方が良いのか悩んでいます。65歳以降も厚生年金に加入して働くと加入期間が増えるのは理解できますが、給与が減ると老齢厚生年金額の計算に使用する『平均標準報酬額』が減ると思います。例えば、65歳までの給与が40万円で65歳以降の給与が半分の20万円になる場合、70歳まで厚生年金に加入して働いた場合、老齢厚生年金額はどうなるのでしょうか。増えるのでしょうか」(もうすぐ高齢者Aさん)65歳以降も厚生年金に加入して働いた方が良いのか
A:年額約6万5770円(月額約5480円)、老齢厚生年金を多く受給できます
相談者のような会社員が加入する公的年金は、国民年金(1階部分)と厚生年金(2階部分)の2階建てで構成されていますので、将来受給できる老齢年金は、老齢基礎年金(1階部分)と、老齢厚生年金(2階部分)の2種類です。老齢年金受給額の計算方法は、老齢基礎年金と老齢厚生年金で異なります。
老齢基礎年金は、収入金額にかかわらず、国民年金保険料を支払った期間や免除期間などの期間によって計算されますが、老齢厚生年金は、厚生年金保険料を支払った期間と、現役時代の収入(厚生年金の加入期間の収入:標準報酬月額・標準報酬額)によって計算されます。
■老齢厚生年金受給額の計算
相談者が、65歳から厚生年金に加入して収入を得た場合の年金受給額は、老齢厚生年金に影響することになります。老齢厚生年金受給額を計算する時には、厚生年金に加入していた期間によって下記の2つの計算式に分かれており、合計した金額となります。
a:平成15年3月以前の加入期間
平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間の月数
b:平成15年4月以降の加入期間
平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間の月数
(※昭和21年4月1日以前生まれの人については、給付乗率が異なります)
相談者が70歳まで厚生年金に加入して働いた場合の老齢厚生年金額は、相談者の65歳になるまでの期間の『平均標準報酬額:40万円』を、現在価値に再評価※して、65歳から70歳までの5年間の『平均標準報酬額:20万円』を足したうえで、上記の計算式に当てはめて計算します。
※過去の標準報酬を現役世代の手取り賃金の上昇率に応じて見直した上で平均することを再評価といいます。
相談者が65歳から5年間(60カ月)、月額20万円で会社員として働いた場合の、増える厚生年金受給額を計算してみます。【b:平成15年4月以降の加入期間】の計算式を用います(平均標準報酬額を20万円として試算)。
20万円(65歳からの平均標準報酬額)×5.481/1000×60カ月≒6万5770円
したがって65歳から、平均月収20万円で、会社員として厚生年金保険に5年間加入すると、年額約6万5770円(月額約5480円)が、老齢厚生年金に一生涯、加算されてもらえることになります。
老齢年金は、一生涯受け取れますので、老後生活の大切な支えとなります。健康で少しでも多くの年金を受け取れると、将来の不安が和らぐのではないでしょうか?
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)