嫌味を言うと止まらなくなる夫
「自分の仕事でのストレスが大きいのか、ときどき夫の嫌みが止まらなくなるんです。子どもが2人になってから、どんどんひどくなってきた。明らかにモラハラ。子どもの顔を見ながら、『どうしてきみに似たんだろう』とため息をついたり、『メシがまずくて働く気がしない』とつぶやいたり。そういう時は何か返すと怒鳴るから、黙っています」カエデさん(40歳)はため息をついた。7歳と4歳、2人の子がいる共働き主婦だ。自分も仕事をしているし、以前は職場も一緒だったから、夫のストレスは分かる。だが、大変なのは夫だけではないといつも感じているという。
夫の機嫌が悪い時は子どもたちも寄りつかない。それがまた癪(しゃく)にさわるらしく、「子どもにオレの悪口を吹き込んでいるんじゃないか」と言ったりもする。
「いつもはそうじゃないんです。楽しいお父さんだし、私にも優しいところがある。でもストレスがマックスになると、ねちねちと言いがかりをつけてくる。結局、大人になりきれない人なんだと思います」
頻度は数カ月に1度、我慢しようと思えばできるが、いつかは自分が爆発しても不思議ではないとカエデさんは思っていた。離婚という言葉が頭をよぎったこともある。
義母の前ではおとなしいモラハラ夫
「近くに義母が住んでいて時々来てくれるんですが、義母がいる時の夫はおとなしいんですよ」ところが先日の週末、義母が来てみんなで食卓を囲んでいた時、ふいに夫のスイッチが入ってしまった。
「上の子が『この前、学校で○○くんとケンカした』と無邪気に言ったんです。どうして? ○○くんが何か言ったのと聞いていたら、夫が突然『男の子に逆らうな』と言い出して……。ケンカしたことを注意するならともかく、男の子に逆らうなってどういう意味なんだとこればかりはカチンときました。私が口を開きかけた時、義母が『何言ってんの、あんた。男に逆らうな? 私はそんな教育をしたことはないよ。ふざけちゃいけない』と怒りだした。義母は代々続く江戸っ子ですから、こういう時の早口の啖呵(たんか)がすごいんです」
夫はタジタジとなり、口をつぐんだ。だが義母は引き下がらない。ねえ、男の子に逆らうなってどういう意味よと、夫に詰め寄る。
「あんた、もしかしたら自分は男だから偉いなんて思ってるんじゃないだろうね。カエデさんにモラハラなんかしたら、あたしが許さないからね」
核心を突いた言葉だった。義母は何か気づいていたのかもしれない。
>義母はいつでも自分の味方でいてくれる