Q:厚生年金に加入する会社に再び就労すると老齢厚生年金が支給停止となるのでしょうか?
「私は、過去に厚生年金に44年間加入し、67歳現在では老齢厚生年金を受給しています。近々、厚生年金に加入する会社に再び就労します。現在の老齢厚生年金受給額が支給停止となるのでしょうか? 就労先の収入は月20万円ほどです」(67歳)再び厚生年金に加入したら、もらっている老齢厚生年金は支給停止に?
A:収入と老齢厚生年金の基本月額の合計が50万円(令和6年度支給停止基準額)を超えなければ、老齢厚生年金は支給停止になりません
60歳以降も厚生年金に加入して働く場合、収入(総報酬月額相当額※)と、老齢厚生年金や特別支給の老齢厚生年金の基本月額(老齢厚生年金の報酬比例部分の月額)の合計金額が、50万円(令和6年度の支給停止基準額)を超えると、老齢厚生年金や特別支給の老齢厚生年金の一部または全額が支給停止されます。これを「在職老齢年金制度」といいます。※総報酬月額相当額とは、毎月の給与と手当など(標準報酬月額)+1年間の賞与(標準賞与額)を12で割った額。
現在67歳の相談者は老齢厚生年金を受給していて、近々、厚生年金に加入して就労され、月に約20万円(交通費その他の手当を含み、賞与はなしと仮定)の収入を得るとのことですが、現在受給している老齢厚生年金が月額30万円以内(つまり50万円-月収20万円=30万円)であれば、年金は支給停止になりません。
なお、過去に44年以上、厚生年金に加入した人は、退職後、支給開始年齢(性別・生年月日に応じて60歳から64歳)から65歳になるまでの間に「長期特例の特別支給の老齢厚生年金」が支給されます。ただし、この制度は60代前半のみに適用されるものです。相談者は67歳、すでに長期特例の特別支給の老齢厚生年金の対象者ではありません。つまり就労しても、年金に影響はありません。
在職老齢年金制度の対象になるのは、老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金含む)になります。老齢基礎年金は対象にはなりません。
※年金プチ相談コーナーに取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)