服装についての好みを語るのは自由
このところ、夏に短パンを履く男性を「キモい」と言う女性がいるなど、男性のファッションに物申す女性が増えてきた感がある。女性に男性が「そんなの着るな」といえば、必ず大きな問題になることを考えれば、逆ももちろんありである。他人の着るものにああだこうだ言うのはおかしな話。とはいえ、「イケオジを考える」という観点からは、パーカーはないとか短パンはあり得ないとか、好みを語るのは自由でもある。
それにしても「イケオジ」という言葉はあるが、なぜ「イケオバ」は定着しないのだろう。イケてるおばさんには、あまり価値を見いだせないからなのか。女性がそもそも「オバさん」と言われることを極端に嫌うからだろうか。年齢は、誰もが平等にとるものだが、その年代になってみないと分からないことはたくさんある。
アラ還になって分かったこと
「体のキレが悪くなりましたね。前からダッシュで走ってきた人をさっとよけられない。ジョギングをしていて体力はあるつもりなんですが、反射神経はやっぱり年相応なんです」笑いながらそういうヒトミさん(59歳)。職場にはさまざまな世代の男女がいるが、若い社員たちと飲みに行くと、「なんだか気を遣わせているようで、申し訳なくなることもある」という。
「今の20代、30代の人たちって優しいんですよ。帰り際、店を出てからコートを着ようと思っていると、男性社員が『着たほうがいいですよ』と店の出口のところで荷物を持ってくれたりする。もう1人がコートを着せかけてくれて。昔だったら、あら、女性の扱いに慣れてるのねなんて思ったりしたけど、近頃は『そんな年寄り扱いしないで』と心の中で思っちゃう。こっちが年とっていることを卑屈に考えているだけなんでしょうけど……。年をとってみないと分からないことってありますよね」
ヒトミさんの場合、職場環境が非常にいいとのことで、周りの若い女性社員たちはあまり年齢を意識することなく、ヒトミさんのおしゃべりにツッコミを入れてくる。
「それはヒトミさん、古いよ。今はこうよと教えてくれる。そういうのは大歓迎です。かと思うと、私はカラーリングしているんですが、『その色、かっこいい。どういうふうに美容院で言えばそういう色になります?』と聞いてくれたりするんです」
年齢を意識させないように気を遣っているのでは、と肩身が狭くなることもあるが、自らが意識し過ぎないことが重要なのかもしれないと思うようになったという。
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