Q. 保有しているリスク資産の約7割がマイナスになっています。利益が出ているものから順次売却しているのですが、もう少し様子を見た方がよいでしょうか
「定年退職し、年齢を考慮した上で、投資商品の比率を減らして預貯金へシフトしてきました。現在、株式や投資信託の約7割は5~10%のマイナスで、残りの3割がプラス5~7%程度です。8月上旬の大暴落時には30%以上も下落し、焦る場面もありました。将来、再び大きな暴落が来ると予想する投資家もいれば、年末には最高値まで戻るという意見もあり、今後の展開は全く予想できません。最近はプラスに転じた商品から順次利益確定していますが、もうしばらく様子を見た方が良いのでしょうか。ぜひ、お二人のご意見をお聞かせいただければ幸いです」(しんちゃんさん/62歳/男性)◾️家族構成:妻、長男、次男
◾️世帯年収:640万円
◾️金融資産:現金預金7500万円、リスク資産1500万円
保有しているリスク資産の売却を進めるべきか悩んでいる60代男性
A. 「慌てて売却する必要はないと思います」(深野さん)
現預金で7500万円、世帯年収が640万円あれば、海外旅行など特別な支出がない限り、無理に金融資産を取り崩さなくても、65歳くらいまでは生活は十分にできるのではと思います。ですので、現状ではリスク資産を慌ててキャッシュアウトする必要はなく、数年は様子を見てもよいかもしれません。特に、保有している株が今後回復する確信があるなら、そのまま保有を続けるのも一つの手です。
一方、もし課税口座で運用し、プラスに転じた商品から利益確定を進めているのであれば、損益通算を検討して、利益と損失を相殺するのも良いでしょう。そうすることで、税金負担も抑えられますし、一度リセットするのも手かもしれません。
A. 「急いで利益確定しなくてもよいのでは」(清水さん)
息子さんもすでに独立されているでしょうし、老後資金の余裕もある状況ですので、慌てて動く必要はないかと思います。もし、リスク資産と現金預金の割合が逆だった場合は、積極的に利確を進めることをおすすめす。けれど、ご相談者の場合、リスク資産は金融資産全体の2割弱です。なので利確できるものは少しずつ売却しても良いかもしれませんが、無理に損切りをしたり、急いで全てを手放したりする必要はないでしょう。
資産的には、余裕を持って運用を続けられる状態だと思いますので、新NISAを活用して新たな投資を始めてみてもよいかもしれませんね。焦らず、プランをじっくりと練りながら運用を続けてみてはいかがでしょうか。
◾️動画では他の相談も取り上げています。ぜひ併せてご覧ください!
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
清水 京武さん
編集プロダクション退社後、フリーのマネーライターとなり雑誌、単行本の編集、取材、ライティングに携わる。20年以上にわたって500組以上の家計を取材し、All Aboutの人気連載企画『マネープランクリニック』の原稿も担当。