人間関係

「かまってちゃん」と「察してちゃん」困った夫たちは“妻だったら察するべき”と思っている?(2ページ目)

結局夫は、妻に母が子どもに接するように、かまってほしくて、察して欲しいと思いながら暮らしているのだろうか。子どもが熱をだせば、「俺も」と言ってくる、「どうしてわかってくれないの」と駄々をこねるなど。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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何でも「察しろ」というけれど

「言わなくてもわかるでしょ」「察してよ」が口癖の夫をもつマイさん(45歳)。結婚して16年、中学生のひとり娘がいる。夫は娘にはデレデレの甘い父親だが、マイさんには「何でも察してほしい」とわがままな態度を貫いている。

「察しろ察しろというけれど、私はあなたじゃないから、あなたの本心は言わなければ伝わらないといつも言っています。でも夫はそれが不服な様子。妻は自分の分身だと思っている節がありますね。夫婦も人間関係のひとつだから、そう簡単に相手の気持ちなんてわからない。じゃあ、私の気持ちが分かるのかというと、夫は『だいたい想像がつく』って。でも完全に的外れなんですよね……」

こういう人とどう付き合っていったらいいのかと悩んだ時期もあったとマイさんは言う。だが今は、「察したふり」をすることに慣れてしまった。それでも時々、夫は「どうしてわかってくれないの、どうして察してくれないの」と駄々をこねるような時がある。

「かまってちゃん」も「察してちゃん」も根は同じなのだ。妻なら、自分を誰より理解してくれて当然だと思い込んでいるところがある。

「夫が父親を亡くした時、けっこう平然とした顔をしていたんです。父との確執は聞いていたから、複雑な思いがあるんだろうなとは思っていました。四十九日がすんだころ『あなたも大変だったね』と声をかけたら、急に夫が泣き出した。『兄妹も母親も、オレの気持ちなんてわかってくれなかった。やっぱりマイだけだよ、オレの心がわかっているのは』と言われたんです。

でも話していて分かったのは、私はまったく夫の心理を察していなかったことだった。私は夫が複雑な心理を抱きつつ父を見送ったと思っていたんですが、夫はなんだかんだあってもとにかく悲しかっただけらしくて……。まったく察してなかったのに、察したと思い込んだ夫に感謝されていたんですよね」

気持ちがすれ違う実感に苦笑

こうやって気持ちがすれ違っていくという実感があったと、マイさんは苦笑した。だが、夫が「妻は察してくれている」と思い込んでいれば、不要な諍いは避けられるとも感じたそうだ。

「私は夫が『察して察して』というところから揉めるのが嫌なんです。多少の誤解があっても穏便にすめばそれでいい。本気で人と人が理解しあうなんて不可能だと思っているから。でも夫はそれが可能だと思っている。そこからしてもう合わないわけですよ。だから誤解や思い込みも含めて、穏やかな関係が築ければいい。ある意味では逃げかもしれないけど、日常生活、深刻に向き合ったら疲れるだけですから」

どこに主眼を置いて暮らしていくか、それは人それぞれ。かまってちゃんと察してちゃん、いずれにしても夫は妻にそこはかとなく甘えたいものなのかもしれない。
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