節約

日頃から持ち歩きたい「防災ポーチ」。入れるべきものや防災ボトルとの違いとは?【防災士が解説】

地震や豪雨による被害など、自然災害が続く近年。必要な備えの1つに「防災ポーチ」があります。そこで今回は、防災ポーチに入れるべきものや必要なシーン、最近話題の「防災ボトル」との違いなどを、女性防災士の視点でご紹介します。

矢野 きくの

執筆者:矢野 きくの

節約・家事・100円ショップガイド

万が一に備えて持ち歩きたい防災ポーチ

万が一に備えて持ち歩きたい防災ポーチ

元旦には能登半島地震、8月8日には日向灘を震源とする地震があった2024年。特に「南海トラフ地震臨時情報」が初めて発表されたことは記憶に新しいと思います。また、スピードが遅く過去にない規模の台風10号による被害や、9月の能登半島沖の豪雨被害もあり、例年以上に“防災”に意識を向けている人も多いのではないでしょうか。

メディアでも防災関連の特集が組まれることも多く、ホームセンターでは非常用持ち出し袋やミネラルウォーターが次々と売れる様子も映し出されていました。しかし、非常用持ち出し袋を用意しただけで安心している人もいるのではないでしょうか。防災で備えるべきものは人によって異なります。自分のライフスタイルにあわせて考える必要があるのです。

そこで今回は、防災士でもある筆者が、常日頃から備えておきたいものの1つ「防災ポーチ」についてご紹介します。
 

防災ポーチはどのような人に必要?

防災ポーチとは、出かけるときにカバンの中に備えておくべきアイテムを入れたポーチのこと。通勤をしている人やある程度の距離の外出をする人などが、移動中や、家でも勤務先でもない外出先で災害にあったときに備えるものです。

一度、1週間の時間割を確認してみましょう。意外と外にいる時間が長い人は多いのではないでしょうか。勤務先によっては防災グッズを用意してくれているところもあります。しかし、そうでない勤務先や買い物途中のお店、移動中の電車の中で災害にあったとき、防災ポーチが役に立つのです。
 

防災ポーチに入れるべきものは?

防災ポーチには何を入れるべきなのでしょうか。あらゆる事態に備えたいところですが、常に持ち歩くものなので、思いつくものを全て入れてカバンを重くするわけにはいきません。また、毎日1時間以上の電車通勤をする人と、近場に出かける人とでは必要となってくるものが違います。自分のライフスタイルにあわせて、これからご紹介するものを取捨選択してください。14の項目に分けてご紹介します。

▼バッテリー、水筒、撥水風呂敷
防災ポーチ以外で持ち歩いているもの

防災ポーチ外で持ち歩いている水筒、モバイルバッテリー、撥水風呂敷「ながれ」

まずは防災ポーチに入れずに持ち歩いている3品からご紹介します。

災害時に情報を得るために役立つスマートフォン。電池切れで使えないという事態を避けるために、モバイルバッテリーは必需品です。日頃の移動距離に応じて、モバイルバッテリーの容量を考えるといいでしょう。

そして、人が生きていく上で必要なものは水分です。水筒やペットボトルなどを持ち歩き、常に水分は携帯しておくようにしましょう。筆者は出先で飲みきってしまった場合は、帰りに備えて途中で購入して水筒に移しています。

また、常日頃から持ち歩いているものの1つが、撥水加工がなされた大判の風呂敷です。筆者が使用しているものは水を運ぶことができるほどに撥水加工されているので雨除けにもなりますし、防寒具として使うこともできます。万が一怪我をしたときなどには、止血帯や三角巾代わりとしても使えますよ。
 
▼食料となるもの
無印良品の長期保存ようかん

無印良品の「備蓄おやつ チョコようかん」

ここからは、防災ポーチに入れるのにおすすめのものです。

災害時に家まで帰ることになったとき、何時間も食料を食べていないと低血糖になって動けなくなることも考えられます。なんらかの食料となるものは入れておきたいところです。筆者は、最長4年6カ月持つ無印良品の「備蓄おやつ チョコようかん」を持ち歩いています。

▼マスク
どのような災害かによって変わってきますが、倒壊した建物の近くを移動しなければならないときや、火災で煙がまん延しているとき、避難所を利用するときなど、マスクがあると安心です。

▼明かりとなるもの
防災ポーチにヘッドライト

ヘッドライトタイプがベストだが、ポーチには少し大きいのでそれ以外でも◎

大きな災害が起こると、辺り一帯が停電になることも考えられます。夜間の停電の中で避難しなければならないときなどに、明かりが全くないと右も左も分からない状態に。足元が危険な場所を避けるためにも、明かりとなるものは1つ防災ポーチに入れておきましょう。

▼音を出すためのホイッスル
防災ポーチにホイッスル

100円ショップでも買えるホイッスル

助けを求めたいとき、声を出すことは体力を消耗します。声よりも体力を使わず音も大きいホイッスルを防災ポーチに入れておけば、いざというときに安心です。筆者は、防災ポーチと鍵にホイッスルをつけて持ち歩いています。

携帯用トイレと黒の90リットルごみ袋
携帯トイレと頭を出せるようにカットしたごみ袋

携帯トイレと頭を出せるようにカットしたごみ袋

災害や周りの状況によって、「トイレの際に人目なんてかまっていられない」ということもあるかもしれません。しかし、できることなら隠したいものですよね。筆者は携帯用トイレとあわせて、黒の90リットルサイズのゴミ袋を1枚防災ポーチに入れています。黒のごみ袋は頭を出せるようにカットしてあり、これをかぶることでポンチョのようになり隠すことができるのです。防寒具としても使うことができますよ。

▼雨具や防寒具
100円ショップでも買える雨具や防寒具

100円ショップでも買える雨具や防寒具

雨が降ったときや寒いときは、体力が奪われます。100円ショップで売っているコンパクトな雨具や防寒具を入れておくこともおすすめです。

▼絆創膏やその代わりとなるもの
マツモトキヨシの「手で切れるハイドロコロイドパッド」

マツモトキヨシの「手で切れるハイドロコロイドパッド」

災害時は、多少の切り傷程度であれば気にしていられない状況かもしれません。しかし、出血が止まらないとなると話は変わってきます。筆者は絆創膏の代わりに、長いテープ状のハイドロコロイド製剤(※1)を持ち歩いています。

※1:傷口から染み出してくる体液を閉じ込めて傷の自己治癒を早くする目的がある衛生材
 
▼油性ペンと付箋
付箋と油性ペン

付箋と油性ペン

避難で移動している最中に何かの情報をメモしたい場合や、避難所に家族への伝言を残したい場合もあるでしょう。消えにくい油性ペンや、さまざまな場所に貼ることができる付箋も防災ポーチに入れておくと役に立ちます。

▼家族などの連絡先
携帯電話が使えなくなった場合、連絡の手段は公衆電話が主です。家族などの連絡先を覚えていない人は、災害という緊急時に連絡を取ることができませんし、連絡先を覚えていたとしても、災害の混乱の中では気が動転して思い出せないかもしれません。家族などの連絡先を書いたメモも持ち歩いておきましょう。上の画像のように、チャック付きの袋に入れて濡れないようにするのがおすすめです。

▼自分の身分証明書となるもの
身分証明書となるものは、免許証のコピーや内容を手書きで書き写したものでも構いません。自分が誰なのか、ほかの人が見たときに分かるようなものも常備しておきたいものです。こちらもチャック付きの袋に入れるのがおすすめ。

▼小銭と多少のお金
災害時にキャッシュレスでの支払いができなくなることは容易に想像できます。公衆電話や自動販売機などで小銭が必要になることもあるでしょう。小銭を含む、多少のお金は持ち歩いておくのがおすすめです。

▼除菌ウェットティッシュやジェル
実際のところ、「そのときを生きるため」と考えると優先度は多少低くなりますが、除菌アイテムもあると安心です。ただし、ウェットティッシュは時間が経つと乾燥してしまいますし、ジェルも状況によっては蒸発してしまうことも考えられるので、定期的に入れ替えをしてください。

▼携帯ラジオ
余裕があれば入れておきたい携帯ラジオ

余裕があれば入れておきたい携帯ラジオ

ラジオの電波は飛びやすく、スマートフォンが使えなくなったとしても、ラジオがあれば情報を得やすいということも考えられます。余裕があれば、携帯用の小さなラジオを入れておくのもいいでしょう。
 

防災ポーチがいい? それとも防災ボトル?

おすすめの防災ポーチ

防災ポーチは100円ショップでも売っている透明や半透明のものがおすすめ

近年、防災ボトルが注目されています。100円ショップなどで売っているウォーターボトルに、防災アイテムを入れておくものです。コンパクトにまとめられる点と、万が一水に浸かることになってもボトルの中であれば濡れずに済むという利点があります。

しかし筆者は、防災ボトルだと必要なものをすぐに取り出しにくいと考えています。ぎゅうぎゅうに詰め込んでいると、どこに何が入っているか分からないかもしれません。その点、防災ポーチにしておけば取り出しやすく中身を見やすいので、筆者は防災ポーチをおすすめしています。


災害はいつ、どのような状況で起こるか誰にも分かりません。しかし、いつ、どのような状況で発生したとしても、備えをしておくことである程度の困難を避けることは可能です。自分の身は自分で守る。そう考えて、防災ポーチの準備をしてはいかがでしょうか。 
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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