<目次>
「死後離婚」とは何か?
「死後離婚」とは、配偶者が亡くなった後に「姻族関係終了届」を役所に提出し、配偶者の親族との姻族関係を断ち切ることを指す造語です。死後離婚を選ぶ女性の場合、「夫の亡き後、義両親など親族との付き合いをやめたい」「夫や夫の親と同じお墓に入りたくない」「この先、義両親の介護をしたくない」といった意見がほとんどです。
実際に、死後離婚にはどのようなメリットとデメリットがあるのかをみていきましょう。
メリット1「精神的な区切りをつけられる」
配偶者が亡くなる前の時点で夫婦関係が冷え込んでいた場合、亡くなった後に死後離婚をすることで自分の気持ちを整理しやすくなります。満たされていなかった結婚生活に区切りをつけ、人生をリセットすることで新しい生活を前向きに送ることができるようになるでしょう。
メリット2「義両親など親戚との関係を断てる」
もともと義両親など親戚との関係が良好とはいえなかったり、付き合いを煩わしく感じていたりする場合、死後離婚を選ぶことでその苦痛から解放されることもあります。義両親や親戚との関係を法的に解消でき、扶養や介護の義務もなくなります。
メリット3「遺産相続への影響がない」
死後離婚をしても、「遺産の相続権」はなくなりません。つまり、亡くなった配偶者に遺産がある場合、死後離婚をしても受け取ることができるということです。「遺族年金」への影響もないので、死後離婚によって経済的な不安が生じることはないといえそうです。
では、死後離婚のデメリットや問題点には、どんなことがあるのでしょうか。
デメリット1「子どもとの親子関係が悪化する」
自分ひとりで決断できる死後離婚ですが、自分の子どもがその決定に反対している場合、親子関係が悪化するリスクもあります。例えば、「義両親の介護をしたくないから」と死後離婚を選び、実際に義両親の介護を拒んだ女性が、「だったら、自分たちの世話は孫にさせます」と義両親からの反撃にあったケースもありました。
子どもにしてみれば、両親が離婚しても祖父母との血のつながりは残ります。「自分だけは関係ない」という立場をとる母親の言動を理解できず、親子関係が悪化する場合も少なくありません。
デメリット2「義両親など親戚との関係断絶によるトラブル」
死後離婚をしても、その事実を自分から伝えなければ周囲が知ることはありません。もしも何の相談や報告もなく、亡くなった我が子が死後離婚されていたと義両親が知った場合、何らかのトラブルが起こることも覚悟しなければならないでしょう。仮に、お墓や介護、扶養などの問題が生じたときに初めて、義両親などの親族が死後離婚を知ったとします。その時に、死後離婚したのだから「もう私には関係ない」「今さら私にその義務はない」という態度をとれば、問題がなくなるどころか複雑化する可能性もあります。
密(ひそ)やかに死後離婚の手続きを済ませていたとしても、問題が起こったときに直接対決する必要が出てくることは理解しておきましょう。
まとめ
このように、死後離婚にはメリットとデメリットが存在します。自分の幸せに向かってリスタートを切るためには大事なことかもしれませんが、一方で、それが思いがけない問題を引き起こすリスクもあるのは事実。縁あってつながった夫婦や家族の関係を、どのような形で終わらせていくのかは慎重に考えて行動に移す必要があるでしょう。