貯蓄

長生きの金欠リスク、どう回避する?

「人生100年時代」が提唱されてから、「自分が計画していたよりも長生きしてしまう」リスクを心配する方が増えています。そこで本記事では、長生きして金欠になるリスクを回避するために、どんな対策をできるかを考えていきます。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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「人生100年時代」が提唱されてから、「自分が計画していたよりも長生きしてしまう」ことを心配する方が増えています。筆者の元にも、以下のご相談がきました。

「長生きリスクを今から回避する方法って何かありますか?」(50歳)

「長生きのリスク」はさまざまあります。筆者が思いついただけでも、配偶者に先立たれて「孤独」になるリスク、病気を患うなど「不健康」になるリスク、思ったよりも長生きしてしまい「金欠」になるリスク、といったものが挙げられます。

そこで本記事では、長生きして金欠になるリスクを回避するために、どんな対策をできるかを考えていきます。

長生きの金欠リスク、どう回避する?

長生きして金欠になるリスクは、どうすれば避けられるでしょうか。一時期、世間では「老後2000万円問題」が話題になりましたが、十分な貯蓄を持ちたい!と考える方が多いようです。

しかし、筆者としては長生きの金欠リスクを「貯蓄でなんとかする」という考え方はピンときません。退職後に「貯蓄を取り崩しながら生活する」としたら、毎月、預金残高が減っていくのを見て、僕は「枯渇したらどうしよう」とビクビクしてしまうでしょう。

この手の心配は「貯蓄」では拭い去れません。筆者はいまの年齢にしては貯蓄があるほうなのですが、「貯金があるから将来は安泰だ」と安心したことなど一度もないのです。

一方、「自分は、一生懸命働くことができるし、生きていくだけのお金を稼げるから安心だ」と考えたことならあります。

あるいは仕事がうまくいかず自信がなくなったときには「自分にはきちんと金融所得があるから、仮に仕事がなくなったとしても、これまで築いた資産が自分の代わりにお金を稼いでくれる」と安心できたこともあります。

こうやって考えるのは筆者だけかもしれませんが、「自分には稼ぐ力がある」「自分が稼げなくなっても、これまで築いた資産のおかげで、どんなに長生きしても収入が途絶えないから安心」と思えるほうが、たくさん貯金をするよりはるかに安心なのです。

退職後、いくら収入があれば安心?

公益財団法人生命保険文化センター「生活保障に関する調査」(2022年度)によると、夫婦2人で老後生活を送るうえで、最低限必要な生活費は月20万~25万円と考える人が多いようです。

仮に月25万円あれば安心として、1年に必要な生活費は300万円です。

日本年金機構が2024年4月1日に更新した「令和6年4月分からの年金額等について」によると、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額は月額23万円です。

生活に必要なお金が月25万円、受け取る年金が月23万円と考えると、すこし年金が足りないものの、不足している収入額は大したものではないように見えます。

2万円を金融所得で賄うとすると、たとえば筆者なら株式指数に連動する「インデックス型投信」に投資して、年間24万円以上の配当収入を受け取れないか考えます。

2024年8月現在、TOPIX(東証株価指数)の配当利回りは税引前で2%です。税引き後は1.6%くらいになります。

この利回りで投資信託に2000万円分投資すると、年間32万円の分配金を受け取れることになります。月額換算すると約2万5000円です。(分配金が減らない前提なら)年金受給額の23万円と合わせれば、月26万円の収入源を確保できています。

税率が上がった場合は?

もうすこし保守的に見積もった場合はどうでしょうか。たとえば、これから政府が配当課税を増税したりしたら、受け取れる配当収入も減ってしまいます。それこそ、配当課税が年30%とかに増えてしまったら、どれくらいの投資資金が必要でしょうか。

TOPIXの配当利回りは税引前で2%です。配当金の税率が30%だと税引き後は1.4%くらいになります。

この利回りだと、投資信託に2000万円分投資しても、年間28万円しか受け取れません。とはいえ、これでも月額2万円以上は受け取れますし、年金と合わせれば年300万円は受け取れそうです。

まとめ

長生きに金欠になるリスクを避けるには、貯蓄も大切ですが、貯蓄だけだと取り崩しが続き、目減りしていく資産を見ながら「大丈夫だろうか?」と心配になりそうです。

だから筆者としては、早いうちから資産運用を学んで、「自分が働けなくなっても、自分の代わりに稼げる仕組みを作っておく」のが大切だと思います。

さいわい、最近は手数料の安い投資信託も増えてきましたし、新しいNISAなどの優遇制度もあります。若いうちにたくさん経験して、退職するときには「絶対大丈夫!」と安心できる環境を整えておきたいですね。

参考資料
  • 公益財団法人生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/2022(令和4)年度
  • 令和6年4月分からの年金額等について(日本年金機構)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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