円高ドル安に備えた投資アイデアを検討しておくのも一案
落ちるナイフはつかむな
こうした状況となった際、投資家の多くは「ただ見ているだけ」or「ろうばい売り」といったアクションを取ります。8月5日の大引け間際で買いを入れた投資家はもちろんいるでしょうが、ごくわずかでしょう。「落ちるナイフはつかむな」という有名な相場の格言があります。5日の急落時に購入しておけば、その後のリバウンドで銘柄によっては3~4割上昇した方もいるでしょうが、日経平均が前日比-2216.63円となった8月2日に手を出した方は、ようやくトントンか若干のプラスといったところでしょう。
まさに運次第といった状況です。今、あの8月5日の急落時に「買っておけばよかったー」と思う人は少なくないはずです。こうした「買っておけばよかった欲」をコントロールするためにも「ドルコスト平均法(※)でコツコツ買う」を実践するのは重要です。
※価格が変動する商品を一定金額で定期的に買う方法
ただ、投資経験を深めるために、急落局面で少しだけ売買するのも勉強だと思います。くれぐれも一発勝負のような投資はやめておいた方がいいでしょう。それは完全に運次第のギャンブルになってしまいますので。
前置きが長くなってしまいましたが、今回の日経平均急落の要因とも指摘されていますが、為替は1ドル160円前半から一気に20円ほど円高ドル安が進み、8月5日、一時1ドル141円台を付けました。今後、米国は政策金利を引き下げる一方、日本はゆっくりですが政策金利を引き上げる予定です。日本と米国の金利差が縮小することになりますので、金利差に着目したトレードは今後入りにくくなると見られます。となれば、為替はゆっくりとした円高ドル安に進む可能性が高いでしょう。となれば、円高ドル安に備えた投資アイデアを検討しておくのも一案です。
円高メリット銘柄ってそもそもなんですか?
では、円高のときに持っておくといい銘柄とはどのようなものなのでしょうか。一般的には、業種別だと、商品や原材料を海外から仕入れる事業を展開している小売業や食品です。円高になればなるほど仕入れコストが低下するので、円高になればメリットになるのです。
ヘルスケアやインターネットサービスを展開している製薬やサービス業の多くは、円高にほぼ左右されませんので、円高メリット銘柄ではありません。ただ、円高ドル安が加速している局面では、相対的に医薬品、サービス業はしっかりとした株価推移がみられますので、注目しておいてもいいかと思います。
「円高メリット銘柄」にはどのようなものがある?注目銘柄は?
具体的な銘柄を紹介していきます。●代表的な銘柄はニトリホールディングスや六甲バター
代表的な銘柄としてニトリホールディングス<9843>です。海外に自社工場を保有し、海外で生産したものを国内で販売しています。海外店舗を増やしていますが、国内と海外店舗の比率は8対2なので、円高に振れた方が企業業績は追い風となります。1円の円高で約20億円の営業増益要因になると見られていますので、円高の影響は大きいでしょう。
六甲バター<2266>は、主力製品のチーズをほとんど輸入しているため仕入れコストに為替がダイレクトに影響します。足元、取り扱い商品価格の値上げで仕入れコスト増加等に対応していますが、為替が円高に振れた場合、業績の押し上げ効果が期待できます。
●このほかの円高メリット銘柄
このほか、海外から魚などを輸入している水産大手ニチレイ<2871>、ニッスイ<1332>のほか、小麦価格高騰でパスタ値上げなどが話題となった日清製粉グループ本社<2002>も円高メリット銘柄です。また、六甲バター同様、乳製品原料を輸入しているラクト・ジャパン<3139>のほか、円高によって海外旅行に行く人が増える可能性がありますので、海外オプショナルツアーを予約できるサイトを運営しているベルトラ<7048>も円高メリット銘柄といえます。
そうは言っても円高、円安どっちになるかよくわからないんだけど?
そうは言っても円高、円安、どちらに振れるかわからない状況になるかもしれません。どちらになってもいいようにと考える場合は、為替に左右されない業態である医薬品や、インターネットサービスを提供するサービス業はいかがでしょう。
医薬品は、武田薬品工業<4502>、アステラス製薬<4503>など配当利回りが高い銘柄も多いので長期投資向きといえます。一方、サービス業は、楽天グループ<4755>、LINEヤフー<4689>などが該当しますが、サービス業の範囲は多岐にわたりますので、全てのサービス業が為替に左右されない業態とは限りません。決算短信や企業IRなどを確認して、業績や事業を確認する必要がありますのでご注意ください。