自分はどういうキャラを設定すればいいのかがわからない。若い人に多い現象だと思われがちだが、どうやら年齢は関係ないようだ。
友人グループで「必要そうなキャラを演じる」
「私は昔から、自分がこの場でどういうキャラを作ったら全体としてバランスがとれるんだろうと考えてしまうところがあるんです。陽気で快活な人、天然の人、聞き役が上手な人がいるなら、私は少しブラックな言葉を吐いたほうがいいなと思って、そういう役割を担ったり。だから高校時代と大学時代では、私の評価が全然違っていたりする」リカコさん(41歳)は少し困ったような表情でそう言った。社会人になってから、それを先輩に見抜かれ、「あなたはあなたらしさを貫いたほうがいいよ。いつかつらくなるよ」と言われたこともあった。
「会社に入って3年間は、その先輩にアドバイスされたこともあって深く考えるのはやめました。自分らしさが何かはわからなかったけど、とりあえず自由に伸び伸びやろうと決めたんです。そうしたら、おもしろいねと言われることもあってうれしかった。
でもその後に異動した部署では、別の先輩に『なんだか、あなたって私とキャラがかぶるのよね』と嫌味っぽく言われて……。またもや、自分がどうふるまうべきかにものすごく神経を遣うようになってしまいました」
職場で「キャラがかぶる」と指摘されてキャラ変更
おもしろいキャラは封印した。以前は部署の飲み会などでカラオケに行って替え歌を歌うのが好きだったのだが、それもやめた。新入社員当時、あなたらしくいなさいと言ってくれた先輩は転職していった。「相談する人もいなくなり、迷い続けた20代でした。でも30歳のときに結婚、それを機に退職、子どももでき、パートで働くようになりました。家庭と育児を中心にしていたので職場の人間関係もそれほど悩むことはなくなったんです」
ところがひとり娘が小学校に入った昨年から、今度はママ友との間で悩みが生じた。学校で会うだけではなく、近所でママ友が数人、立ち話をしていると、自分も立ち止まったらいいのか悩む。話の輪に入っても、あまり親しくしていない人がいると、自分がどういう役回りをしたらいいのかがわからない。
「夫に相談したこともあるんですが、夫は『オレ、そんなこと考えたこともない。どうしたって自分は自分でしょ』と怪訝な顔をしていました。そうか、人はそんなことでは悩まないのかと不思議な感じでした」
どうしてそれほど考えてしまうのか、自分でもよくわからなかったという。
>どうしてこんなことになるのか原因を探った