住宅ローンを組めない原因とは?
Q. 将来的に住宅ローンが組めないとしたら、どのような原因が考えられますか?
「持ち家は負債だと考えており、これから先の住まいも賃貸でよいと考えていますが、いざ住宅ローンを組もうと思ったときに組めない場合、どのような原因で組めない可能性がありますか?」(41歳・会社員男性)A. 年齢を重ねることで、住宅ローンを組めない可能性があります
住宅ローンを組む場合には、各金融機関が定める年齢や年収などの要件をクリアすることが必要となります。お金を借りるわけですから、安定した一定の収入があることが条件になることは容易に想像できます。具体的な条件は、各金融機関で細かい違いはあるものの、基本的には「年齢」「団信への加入」「年収」「勤続年数」「保証会社の信用調査」の5つの要件を満たすことが必要となります。以下、ひとつひとつ要件を確認してみましょう。
1:年齢
住宅ローンの借入時の年齢が満20歳以上満65歳以下で、最終返済時の年齢が満80歳以下などのように規定されている金融機関が多いです。そのため、一生賃貸でよいと考えていたもののマイホームを購入しようとしたタイミングが満65歳を超える場合には、住宅ローンを組めなくなります。
一方、満65歳以下であっても、それに近い年齢であれば返済期間を短く設定され、結果的には、希望の借入額を満たさなくなるということもあります。もちろん、定年退職後に現役時代と同額の住宅ローンを返済できるのかという問題もあります。
2:団信(団体信用生命保険)への加入
次に、団体信用生命保険(一定の病状になった場合、住宅ローンの残債がなくなる保険)に加入可能かという健康面も重要です。一般的に、年齢を重ねることによって成人病などを患いやすくなるため、保険に加入しにくくなるのではないでしょうか。
この点からも、やはり、人生の早いタイミングで住宅を購入したほうが良いともいえるでしょう。
3:年収
具体的な最低年収を明確な要件としていない金融機関が多いものの、前年度の税込年収が200万円以上というものが一定の収入といえる目安になっています。
年功序列的な給与体系であれば問題ないのかもしれませんが、いざ住宅ローンを組もうと思ったタイミングが、嘱託など勤務形態が変わるタイミングと重なり、収入が減ってしまう場合には注意しなければならないでしょう。
4:勤続年数
さらに、多くの金融機関では、借入時の勤務先の勤続年数が3年以上というのを収入安定性の要件としています。ただし、勤続期間1カ月でも利用できる住宅ローンも存在するため、この点についてはあまり神経質に考える必要はないのかもしれません。
5:保証会社の信用調査
住宅ローンを組む際は、所定の保証会社による信用調査があります。これによって保証会社の保証を受けることができるということも要件になります。携帯電話の通話料・通信料くらいは滞納しても平気という認識では危ないです。カードの支払いに滞納の過去があると保証を受けられなくなってしまいます。
なお、ご質問にあった「持ち家は負債」という考えについてですが、FPの教本的には不動産は資産のため持ち家も資産です。もっとも、住宅ローンの返済義務が生じてしまうという意味では、持ち家は負債と捉え、あえて住宅ローンを組んでマイホームを購入することはないともいえるでしょう。
文:みちば まなぶ(ファイナンシャルプランナー)
大学卒業後、大手ハウスメーカーや不動産業者などを経て、住宅ローンを切り口に、住宅購入をはじめとしたライフプランニングを提案する1級FP技能士。