Q. 今後の物価上昇を考えると、早めに老齢基礎年金を受給した方がよいでしょうか
「年金についてですが、現在は老齢厚生年金だけを受給し、老齢基礎年金は繰下げ受給にしています。ただ、今後のインフレを考えると、基礎年金も早めに受給した方がよいでしょうか。なお、現在のところ、特に現金の必要性は感じていません」(おぼちゃんさん/男性/67歳)<家族構成>妻(67歳)
<金融資産>現金預金1000万円、リスク資産2000万円
今後の物価上昇を考えると、老齢基礎年金を早めに受給した方がいい?
A. 「現金の必要性がなければ、急いで老齢基礎年金を受け取る必要はないのでは」(深野さん)
2024年度の公的年金の支給額は、2023年度に比べて2.7%引き上げられましたが、2023年度の物価上昇率3.1%に追いつかない結果となりました。しかし、老齢基礎年金の繰下げ受給を選択すると、受給額が1カ月で0.7%ずつ増加するため、受け取る年金額は年間で8.4%増加(0.7%×12)します。そうすると、年金の増加率が物価上昇率を上回るため、十分にインフレをカバーすることができる計算になります。
特に現金が必要でないのであれば急いで受給せず、繰下げ受給にしておく方がリスクを取らずに、年金額を増やすことができます。
けれど、もし自分で運用して年利8.4%のリターンを得られる自信があるなら、早めに老齢基礎年金を受け取る選択肢もありだと思います。しかし、年利8.4%のリターンを得るのは、株式や投資信託などでリスクを取らない限り、達成するのは難しいでしょう。ですので、インフレに負けないためにも、繰下げ受給しておく方が良いのではないかと思います。
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教えてくれたのは……深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など