円安でも生活はラクにならない?
「円高で1ドル80円台だったときは景気が悪かったと聞いたが、いまは円安なのにもかかわらず、生活が苦しいと感じるのはなぜ?」(38歳・女性)
この記事では、この質問に対する筆者の考えを述べていきます。
円安なのに生活が苦しいのはなぜ?
円高で1ドル=80円だったときは、2008年のリーマン危機があったときのことだと思います。当時、筆者はまだ学生だったので景況感は疎かったのですが、学校へ通っている間に不動産屋や銀行がバッタバッタと倒れていました。いうまでもなく、そんな状況でしたから景気も悪かったです。当時も生活が苦しかったはずですが、その苦しさの原因は「不景気」です。仕事が見つからずに収入がなくなってしまった人や、仕事を見つけても薄給しかもらえない人がたくさん居て、生活が苦しくなりました。
一方、いまはどうかというと、当時よりはだいぶ景気が良くなりました。円安も進み、それで潤う企業もたくさんあります。
しかし、僕らのような最終消費者の立場から見ると、円安は必ずしも生活が楽になるわけではありません。
まず、日本はさまざまなものを輸入しています。農林水産省によると食料自給率は4割くらい。半分以上の食品は海外から輸入しています。また、日本は非資源国なので、ガソリンや石炭といった燃料も外国から輸入しています。円安になると、これらの輸入コストも上がります。
つまり、「円安になると、生活費が上がる」ということです。実際、ここ数年では電気代がかなり上がったと思うし、2年前に原油価格が高騰したときには、ガソリン代が高くて大変だった方も多いでしょう。
円安で物価が上がっているのに、給料が上がらない
一方、給料も同じくらい上がるとはかぎりません。2024年に入ってからやっと改善されてきましたが、ここ数年、日本の実質賃金は前年比マイナスが続いていました。つまり「円安で物価が上がっているのに、給料が上がらない」ということです。物価が上がったぶん、僕らの生活費が増えて苦しくなります。この状況が長引けば、僕らの暮らしはどんどん苦しくなっていきます。
幸い、2024年に入って実質賃金は前年比プラスになりました。つまり、物価よりも速いペースで給料が増えているということです。この調子でどんどん賃上げが進んで、生活が楽になるといいですね。