円安はいつまで続く?
そこで本記事では、足元の円安が「いつまで続くのか?」について、筆者の考えをまとめます。
そもそも、どうして円安が起きたのか?
そもそも、どうして円安が起きたのでしょうか? 筆者は、「国内外の金利差」がもっとも大きな理由だと考えています。発端は2022年でした。日本を除く多くの諸外国では、金融緩和の反動で急激に物価が上がりました。物価を抑えるため貨幣の供給量を絞り、金利を上げることで、物価を抑えようとしたのです。
一方、日本は諸外国が利上げをしている中、ほとんど利上げしませんでした。今やアメリカの政策金利は5%ですが、日本は0.25%ぽっちです。
国内外で金利差が広がったことで、次の2つのことが起きました。
1つは「貨幣価値の希薄化」です。
利上げを始めた諸外国は、貨幣の流通量を絞りにいきました。貨幣の流通量が減るということは、それだか貨幣の希少価値が高まるということです。
一方、利上げをしなかった日本では、諸外国が貨幣の流通量を絞っている中でもガンガン日本円を刷りました。外貨の希少性が高まる中、日本円の希少性が薄れたので、それが円安につながったと考えられます。
もう1つは「円キャリートレード」です。
日本は金利が低いので、「外国人が低い金利で日本円を借りて、借りたお金で外国債を高い金利を受け取る」という動きが広まりました。これを円キャリートレードと言います。
円キャリートレードは昔から行われていて、1990年代後半や、2005~2007年、2022~2024年など、日本円は繰り返し「円キャリートレード」で資金調達に使われてきました。
貨幣価値の希薄化と円キャリートレード。この2つが重なり、極端な円安が起きたのが、2024年7月の「1ドル=160円」だったと言えるでしょう。
円安はいつまで続くのか?
では、円安はいつまで続くのでしょうか? 具体的に「何月何日まで」とは分かりませんが、どんなことが起きると円安が終わるかは察しがつきます。1つ考えられるのが、日本銀行が金融引き締めに乗り出す(または乗り出すと予想された)ときです。
日本銀行が金融引き締めに乗り出すと、政策金利が上がるなどして日本円の供給量が減ります。供給量が減ると円の希少性も高まるので、円安が落ち着き、円高へと向かうと考えられます。
もう1つ考えられるのが、諸外国が金融緩和に動き出す(または動き出すと予想された)ときです。
為替レートは相対的なもので、日本円の希少性が変わらずとも、外貨の希少性が下がれば、円高に向かうと考えられます。
また、日本の金融引き締めにせよ、諸外国の金融緩和にせよ、どちらの場合でもキャリートレードの「うまみ」は薄れます。円を借りて外国資産を買う投資家も減るでしょうから、これも円高要因です。
未来は誰にも分からないから、備えを万全に
残念ながら、「円安が具体的に何月何日まで続くか?」や「海外旅行へ行くならいつが有利か?」みたいなことは分かりません。未来は誰にも分かりませんから、円安になっても、円高になっても損をしにくいように、バランスよく資産を持ちたいところです。