Q:厚生年金保険料を1カ月払うと、将来もらえる年金はいくら増えるの?
「厚生年金保険料を1カ月でも払ったら将来年金をもらえるんですか? いくら増えるのでしょうか?」(40代・アルバイト)厚生年金加入期間が1カ月の場合、将来もらえる年金はいくら増える?
A:老齢基礎年金を受け取れる要件を満たした人が厚生年金の加入期間が1カ月以上ある場合、老齢厚生年金がもらえます。月収15万円だと仮定し、1カ月間厚生年金に加入すると約865円増えます
日本の公的年金制度は、国民年金保険(1階部分)と厚生年金保険(2階部分)の2階建てで構成されています。自営業やフリーランスが加入する国民年金保険と、会社員や公務員が加入する厚生年金保険の2種類あります。厚生年金保険に加入すると、自動的に国民年金にも加入することになります。厚生年金加入者が受給できる老齢年金は、老齢基礎年金(1階部分)と、老齢厚生年金(2階部分)の2種類です。老齢厚生年金は、老齢基礎年金を受け取れる要件を満たした人(保険料納付済み期間などが10年以上)に厚生年金の加入期間がある場合に、老齢基礎年金に上乗せして65歳から受け取ることができます。
厚生年金の加入期間については1カ月以上あれば、65歳から将来老齢厚生年金として受け取ることができます。
今回は、相談者の標準報酬額が15万円(おおよその月収)だとして、1カ月間、厚生年金に加入するとどれくらいの老齢厚生年金がもらえるかを計算してみたいと思います。
老齢基礎年金は20歳以上60歳未満まで未納期間や免除期間が全くなく、40年間加入して満額の81万6000円(令和6年度)受け取れるとします。
老齢厚生年金の受給額は、平成15年3月までと平成15年4月以降では計算式が異なりますが、相談者はこれから厚生年金に加入しますので、平成15年4月以降の計算式で試算します。平成15年4月以降の計算式は以下の通りです。
●計算式
年金額(年額)=平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以後の加入期間
*乗率は昭和21年4月2日生まれ以降の人の新乗率を使用
この計算式に相談者のケースをあてはめると以下のようになります。
15万円×5.769/1000×1=865.35円(年額)
したがって相談者が、月収15万円で厚生年金に1カ月加入すると、65歳から81万6000円(老齢基礎年金)+865円(老齢厚生年金)=年額81万6865円をもらえます。
65歳からもらえる老齢厚生年金は、収入が多くなるほど、加入期間が長くなるほど、多くもらえます。厚生年金に加入しながら働くと、保険料を負担しなければならないため手取り金額は少なくなりますが、保険料は会社が半分負担してくれるというメリットがあります。
その他、厚生年金に加入すると、障害年金や遺族年金の保障も充実されます。公的年金は万が一の時の保険という一面もあります。現在相談者はアルバイトとのことですが、厚生年金保険料を負担することで生活が苦しくなるようなことでなければ、厚生年金に加入して、老後生活の収入増や、保障を充実させることを検討してみるといいと思います。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)