Q. 物価が上がっているため老後が不安です。今からできる対策はありますか?
「老後に2000万円ほど必要と言われたこともあり、何とか頑張って3000万円超の貯金ができました。また、2人の子どもたちに1000万円ずつ生前贈与も完了しました。老後少しでも豊かな生活をしたいと思い、3000万円を目標に貯金してきましたが、昨今の物価高騰で老後の生活が不安になってきました。今からでも有効な老後資金対策などがあればぜひ教えていただきたいです」(老後突入さん/女性/51歳/正社員)
<家族構成>夫(55歳)
<世帯年収>1220万円+賃料収入年間100万円
<金融資産>現預金3500万円、リスク資産60万円
昨今の物価高騰で老後が不安だという50代女性。今からできる対策はある?
A. 「定年までにまだ時間があるので、貯金や運用で積み増しすることもできるでしょう」(深野さん)
現時点での金融資産は3560万円で、世帯年収は賃料収入分を入れると1320万円。ご主人は55歳なので、少なくともあと5年間は貯金できそうですね。今の金融資産で老後の生活をカバーすることができるのか、考えてみましょう。基本的には年金受給額と現時点の家計の支出額をもとに、我が家の月額収支がどれくらい赤字になるのかを計算します。年金額については、ねんきん定期便を確認してみてください。
そして“赤字額×12カ月×30年”で計算した結果、3000万円以内であれば預貯金でカバーすることができます。あとは、物価が緩やかに上がっていくことを考慮して、運用で物価上昇を上回るリターンを得ることができれば、過度に心配する必要はないでしょう。リスク資産が60万円となっていますので、NISA制度を活用して積立投資をしてみるのも一策です。
一方で、リスクをあまり取りたくない場合は、物価上昇を加味して必要な老後資金を現金で積み増ししていく手もあります。仮に物価上昇率を年率2%、老後20年間の期間で試算すると、体大4500万円の預貯金があると安心です。ご相談者の場合、定年までにまだ時間がありますので、あと1000万円くらい預貯金を増やすことを目標にしてみるのもありだと思います。
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など