浪費しないためのスマホアプリの使い方
直感では「家計簿をつけると支出が減る」と思いますが、どうして予算管理アプリを使うと浪費が増えてしまうのでしょうか。
予算管理アプリの弱点
同研究によると、予算管理アプリ……つまり「収入」と「支出」を見える化することで、月末(つまり予算の締切日)が近づくと「まだこれくらい使える」と分かってしまうため、かえって支出が増えてしまったそうです。たしかに、給料日前にまだお金が余っているとなると、ちょっとくらい使ってもいいかな?という気分になりそうです。この研究はアリゾナ大学で行われたものなので「日本人は違う!」と言われたらそれまでです。とはいえ、たしかに「もうすぐ収入が入る」とか「今月はけっこう切り詰められたから、まだお金に余裕がある」とか考えると気が緩んじゃうのは日本人も同じでしょうから、家計簿をつけている方は気をつけたほうがいいかもしれません。
同研究では「どうやって浪費を防ぐか?」も研究しています。どうしても気が緩んじゃう方は、「べつにいま使わなくても、来月使ってもいいんだ」と、支出を先延ばしして、来月の予算に繰り越すと効果的なようです。
アプリをどう使うか?が問題
この研究を読みながら、筆者は「日本と海外では、家計簿をつける目的が違うのかもなー」とも感じました。日本で「家計簿をつける」というと、予算を管理するというよりは「どういう支出をしているかを知って、支出を抑えるために使う」という意識を持っている人が多いと思います。
一方、アメリカの場合は「支出と収入をきちんと把握することで、どこまでお金を使えるか、ギリギリを見極める」といったように、気持ち良くお金を使うために家計簿アプリを使っているのかもなーと感じました。
もともとコスト意識が強い人には無縁な話でしょう。とはいえ、たしかに「給料日直前にお金が余っていると使いたくなる」など、気持ちが緩んで節制が台無しになるような浪費をしちゃう気持ちも分かるので、身に覚えがある人は「支出だけ管理するようにする」とか、使えるお金を見えにくくするなど工夫したほうがよいかもしれませんね。
参考
- Huang, L., 2020. DYNAMIC BUDGET MONITORING: WHEN ACCESS TO BUDGET FEEDBACK LEADS TO INCREASE IN SPENDING, Centre for Economic Policy Research