学歴と高収入の関係
表は、アメリカでの学歴と収入の関係(1)です。左側のグラフは学歴と収入、右側のグラフは失業率です。グラフの学歴は以下のようになっています。
Doctoral degree:博士
Professional defree:専門職学位
Master's degree:修士
Bachelor's degree:学士
Associate's degree:準学士
Some college, no degree:大学に在籍したが学位なし
High school diploma:高校卒業
Less than a high school diploma:上記以下
つまりアメリカでは、高い学位を持つ人ほど失業しにくく、かつ高収入になる傾向があります。これは、教育によって得られるスキルや知識が労働市場で高く評価されるためです。
学歴の世界的な影響
1950年から2014年までの139カ国1120件のデータによると、学校教育1年に対する世界の民間平均リターンは年9%であるとされています(2)。ざっくりいうと学校で1年間教育を受けると、収入が9%増えるということを示しています。これは、株式投資のリターンとだいたい同じくらいのリターンです。特に、高等教育や女性の就学に対する平均リターンは高く、女性の地位向上ならびに高等教育が重要といえます。学歴の影響で収入が増える原因の1つとして「学歴がある人ほど生産性が高い」可能性が挙げられます。筆者としては「継続的に学習する習慣を持つ人は、時間とともに生産性が高まっていくのだろう」と思います。学び続けることで、知識やスキルが更新され、より効率的に仕事ができるのでしょう。
学歴がなくても成功する方法
学歴がないからと言って諦める必要はありません。むしろ、「継続的に学ぶことが大事」ということです。というのも、アメリカのデータからも分かるように、収入格差につながったのは「10代以降の教育」だからです。つまり、先天的な何かが理由というより、むしろ、後天的に「どれだけ継続的に学ぶ努力をしたか」が関わっています。経済的な事情によって教育を受けられない場合もありますが、学校に通うことにかぎらず、読書などでも学習はできますから、大人になってからでも十分に取り戻せると思います。
学歴と環境
学歴の影響で収入が増えるもう1つの原因は「学歴がある人ほど金持ちとのコネができやすい」という環境要因も考えられます。一般論として、高学歴な子供のウラには経済的に豊かな親がいることが多いです。日本でも「東大生の親の年収は高収入だ」という話が有名ですが、良い学校へ入れば、高収入な家庭とつながりができたり、資産形成や資産防衛の話で知識を共有できたりして、収入アップにつながりそうです。まとめ
学歴が高いことは確かに高収入につながりやすいです。とはいえ、学歴がない人も悲観する必要はありません。「幼少時の教育で全てが決まる!」というデータが出ているならまだしも、むしろデータが示すのは「大きくなってからも継続的に学ぶことが大事」という話です。学歴がなくても継続的な学習・努力で十分に取り返せるんじゃないでしょうか。参考
- "Education pays, 2023," Career Outlook, U.S. Bureau of Labor Statistics, April 2024.
- Psacharopoulos, G., & Patrinos, H. A. (2018). Returns to investment in education: a decennial review of the global literature. Education Economics, 26(5), 445–458. https://doi.org/10.1080/09645292.2018.1484426