高齢者は必ず免許返納するべきなのか?
免許返納については、親本人の思いや生活環境、子どもの不安、地域社会に与える影響など、さまざまな要因が絡んできて、悩ましい問題です。筆者は、「老若男女にかかわらず、身体的、認知機能的に安全運転が難しい人は、免許を返納すべき」だと考えています。
必ずしも「高齢者の運転=危険」とは限りませんが、警察庁のデータを詳しく見ていくと、若い人と比べて高齢者は「短い距離を短時間運転するだけで、死亡事故を起こすリスクが高い」ことが明らかです。
コストや体制などの問題から、全ドライバーに対して免許更新時のテストを厳格化するのが難しいのであれば、危険度が高い高齢ドライバーに対してはしっかりとテストを行い、一定基準に満たない人に対して返納を促すのは当然ではないでしょうか。
逆に言えば、安全運転がしっかりできているのであれば、高齢であっても免許を返納する必要はないと思います。
親が免許返納をイヤがる主な3つの理由と対策
高齢の親が免許返納をイヤがる主な理由3つについて、返納を促すための対策をまとめてみました。親のタイプを見極めて、早い段階から少しずつ布石を打っておくと、いざというときの反応が変わってくるはずです。返納をイヤがる理由1:運転することが、家族の中での自分の役割だと考えている。
本人に運転以外の役割を与え、少し大げさに感謝する習慣をつけましょう。新聞の取り込みや庭の手入れ、ペットの散歩など、ごく簡単なことでもOKです。
運転以外の価値を家族から認めてもらうことで承認欲求が満たされ、日常的にも心のゆとりが生まれるようになります。
返納をイヤがる理由2:買い物や通院など、運転しないと生活が不便になってしまう。
まだ体が元気な状態であれば、電動サポート付き自転車をプレゼントするのがオススメ。健康作りを兼ねて買い物や通院ができるようになります。
また、シルバー人材センターに依頼すれば、1時間あたり1000円~1500円で買い物を代行してもらうことが可能。ネット通販の活用や、子どもが買い物を肩代わりするといった方法も有効ですね。
自治体にもよりますが公共交通機関の優待や、タクシーの割引を利用できるケースもあります。
返納をイヤがる理由3:ドライブだけが唯一の趣味。
地域の老人会への参加、デイサービスの活用、サブスクでの映画鑑賞など、子どもから親を誘導して、別の趣味を見つけてあげるのが一番だと思います。
楽しみを取り上げるだけでなく、何かを引き換えに提供することも考えましょう。親子で同じ趣味を楽しむことができれば、会話の幅も広がり、コミュニケーションも取りやすくなるはずです。
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