相場の上下に振り回されない投資法
相場が下がる原因は主に2つあります。1つがバブルの崩壊です。つまり、金融資産が割高になり過ぎてしまい、価格を維持できなくなるパターンです。もう1つは不景気です。不景気では、企業の業績が悪くなって配当が減ったり、空き部屋が増えて家賃収入が減ったりする恐れがあります。
いずれの場合にしても、相場が下がると株価や不動産の価格が下がります。株や不動産に投資をしていれば、評価額が下がって損をするでしょう。
しかし、これはあくまで株や不動産を短期売買する場合にかぎった話です。すこし捉え方を変えて「相場が上がっても下がっても、安定した配当収入や家賃収入、金利収入を受け取れないか?」と考えてみると、相場が下がっても儲ける方法は考えようがあります。
この記事では、景気が悪くなっても金融所得が大きく減らず、安定した収入を得る人にはどんな共通点があるのかについて特集します。
相場が下がっても金融所得が減らない人の特徴
では、相場が下がっても金融所得が減らない人にはどんな特徴があるのでしょうか。まず考えられるのが「国債に投資している」投資家です。
国債というのは国が発行している債券のことで、「国にお金を貸して、金利を受け取る」という投資商品です。
一般論として、国債はそのほかの株式や不動産と比べるとリスクが低いと言われています。なぜかというと、株式や不動産は景気が悪くなると配当が減るリスクがありますが、国債の場合は景気が悪くなっても増税したり、国債を追加発行したりして返済できるからです。企業が倒産するリスクと比べれば、国が財政破綻するリスクのほうが低い……という話です(もちろん、財政破綻してしまう国もありますから、絶対確実に安全とは言えません)。
たとえば、金利が5%の国債に投資をすると、利上げや利下げによって資産評価額が上下することはありますが、売らないかぎり5%の金利収入を安定的に受け取ることができます。
つぎに考えられるのが、「破綻リスクが低い会社に投融資する」投資家です。
国債以外にも、上場企業のなかには「国と同じくらい破綻のリスクが低い会社」もあります。こういう会社にお金を貸したり投資したりして、金利収入や配当収入を受け取る方法もあります。
「国と同じくらい破綻のリスクが低い会社」とはどういう会社かというと、借金が少なくて、必需品を扱っていて、かつ商品を寡占的に販売できる会社です。
企業が破綻する原因のほとんどは「必要とされなくなる」か「競争に負けるか」のどちらかですが、必需品を扱っていれば需要はなくならないし、寡占ビジネスなら競争に負けるリスクも低いのです。
こういった破綻のリスクが低い会社は、信用度が高いです。信用度の高い会社は、信用格付会社から高いレーティングが発行されています。この記事を執筆している時点では、東京ガスや大阪ガスなどは、S&Pグローバル・レーティング・ジャパンでの信用格付けが日本企業のなかでも特に高いです。
たしかに、ガスは生活必需品ですし、(ガス小売化が始まったものの)日本のガス会社はまだ市場を寡占していると考えられます。ガス会社が破綻することがあるとすれば、国が滅びるときと同じタイミングな気もします。
まとめ
「相場が下がっても株や不動産の評価額が下がらない」というのは難しいです。多くの場合、景気が悪くなって相場が下がると、たとえ業績が良くても相場に引っ張られて株価が下がってしまうものだからです。一方、株価や不動産価格の代わりに配当収入や家賃収入に注目し、「相場が下がっても金融所得を儲け続ける」ことは可能です。
国債や破綻リスクの低い会社に投資することで、安定した金融所得を稼げると期待できます。相場の変動に左右されたくない方は、本記事で取り上げたような「破綻リスクが低い投資先」を探してみるといいと思います。
参考
S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社, “発行体格付け一覧(2024年5月31日時点)”