カフェ・喫茶の分野で多店舗展開しているのは「スターバックス コーヒー」(1917店)や「ドトールコーヒーショップ」(1065店)などセルフサービス式がほとんどで、スタッフが注文を取って商品を運んでくれるフルサービス式ではコメダが圧倒的なナンバー1です。
さて、今や国内のどこにでもあるコメダですが、名古屋と関東の一部地域にしかない姉妹ブランドがあるのをご存じでしょうか? 「コメダ和(なごみ)喫茶おかげ庵」(以下、おかげ庵)です。名古屋市内は8、愛知県内に1,神奈川・東京4店舗の計13店舗と、本拠地の名古屋でもまだ知る人ぞ知る存在です。 おかげ庵の歴史は古く、名古屋市内に1号店を出店したのは1999年。今年はデビュー25周年にあたります。1968年創業のコメダは2000年代以降本格的に全国展開を進め、これまではコメダ中心に出店戦略を進めてきたため、おかげ庵の店舗数は限られたままでした。その分、じっくり育てられてきたブランドともいえます。
さて、このおかげ庵、ひとことで説明するなら「和風コメダ」。コメダの魅力である“くつろぎ”を大切にしつつ、和菓子や和食、和風ドリンクなどを充実させた喫茶店です。
と、ざっくりいえばそうなのですが、これだけでは語り尽くせない深い魅力が随所にちりばめられています。1つひとつそのポイントを解説していきましょう。
<目次>
和めるポイント1:にぎりたておにぎりのモーニング
コメダの一番の魅力ともいうべきモーニングサービス。朝の時間帯(開店~午前11時)にドリンクを注文すると、トーストやゆで玉子などが無料でついてくる名古屋喫茶ならではのサービスは、今やコメダの代名詞です。 おかげ庵では、おにぎりセット、お茶の子(和菓子)セットなどがあります。ドリンクもお抹茶、ほうじ茶シェーク、きなこオーレなど和風のメニューが多彩。しかもおにぎりは店内厨房で米から炊く手づくりの上、にぎりたてなのでほかほか、ふんわりなのです。和めるポイント2:焼き物が楽しい
おだんごなどを自分で焼く“焼き物”のメニューはおかげ庵ならでは。おだんごは好みの加減で焼くことができ、さらに醤油、黒蜜きなこ、あんこと3通りの食べ方を楽しめます。スタッフが焼いてくれるのではなく、自分で焼くのがポイント。わいわいおしゃべりしながら、焼いている時間を体験型エンタメとして楽しめるのです。大福、五平餅などバリエーションも豊富です。
和めるポイント3:お食事メニューが充実
おかげ庵はフードメニューが充実しているのも特徴。レトロスパゲティーは名古屋名物のいわゆる鉄板スパ。じゅわじゅわ湯気を上げながら熱々で運ばれてきます。その他、きしめんや雑炊などがあり、さらには季節限定品もあるなどバラエティー豊か。コメダのスナック類がサンドイッチなどパンメニュー中心なのに対してこちらは和食が中心。食事処としての使い勝手のよさはコメダ以上です。
和めるポイント4:シロノワール、かき氷など定番も和テイスト
コメダでも人気のシロノワールやかき氷。これらのメニューもおかげ庵オリジナルにアレンジされています。シロノワールは抹茶や、抹茶とバニラのミックスソフトクリームから選べ、上からかけるのはシロップではなく黒蜜。ソフトクリーム自体もより乳脂肪分の高いものを使用しています。かき氷も愛知県西尾産の香り豊かな抹茶を使用するなど、全種類コメダとは異なるテイストを用意。コメダにもあるメニューでも、アレンジしているものが数々あるのです。
和めるポイント5:空間がよりゆったり
木を基調とした空間はコメダと同様ですが、実はよりくつろげる工夫があります。通路幅をゆったりと取り、さらにソファはコメダが箱形なのに対して、おかげ庵は四脚が独立したタイプが主流。そのため座ったときに足の自由度が高く、特に年配者や小さな子ども連れのパパ、ママなど、動きが制限される人にとって優しい設計になっています。
和めるポイント6:コメダとの併設店はチケット共通
コメダと同じ敷地に併設されている店舗がいくつかあり、そこではドリンクチケットをコメダ、おかげ庵どちらでも使用可能。その日の気分によって使い分ける、両ブランドの常連になるお客が多いとか。※併設店はおかげ庵本店(名古屋市瑞穂区)、葵店(名古屋市東区)、横浜ランドマークプラザ店(横浜市西区)、駒沢公園店(東京都世田谷区)。
広がる店舗網! しかし、まだ体験に希少価値あり
このようにコメダ本来の“ゆったりくつろげる”という魅力はそのままに、コメダにはないメニューや楽しみ方があるおかげ庵。シニアはもちろん若い女性客も多く、コメダに負けないくらい幅広い層に支持されているといいます。誰もが知るコメダの姉妹ブランドでありながら、ごく限られたエリアにしかない。そのため大衆性とレア感を合わせ持つことも、おかげ庵の魅力のひとつとなっています。「おかげ庵に行った」という体験は、コメダユーザーなど非常に多くの人の共感を得られ、それでいて実際に体験した人はまだ少数なので、希少価値もあるのです。
2024年は新店の出店も計画されていて、いよいよ体験できるチャンスが広がりそう。とはいえ本格的な全国展開はまだ先になるでしょうから、変わらず話の種として自慢できそうです。
そしてもちろん実体験としての満足感もあり。「近くにできるまで待てない!」という人は、名古屋などの既存店舗にまで足を運ぶ価値があるのではないでしょうか。
※店舗数は2024年6月時点のもの