幸運を引き寄せることのできる人って?
結論から言えば、運を引き寄せる法則というものはありません。そもそも運とは「自分ではどうにもならない外部要因が、自分にとって都合の良いように作用する」ことでしょう。運は自分ではコントロールできない以上、「引き寄せる」ことは難しいです。
その一方で、「幸運が来たときに、その幸運を活かせるかどうか」は、その人自身にかかっています。運を引き寄せる人がいるとすれば、その人が本当に運が良いというより、「自分の前に幸運が転がってきたときに、自分の成功に役立てられる」のでしょう。
幸運を活かせる人は何が違う?
運の定義上、幸運を「引き寄せる」のは難しいです。一方、運を「活かす」ことはできます。では、幸運を活かせる人は、活かせない人と比べて、具体的に何が違うのでしょうか。大きな違いは3つあります。
1つ目は、「幸運を察知できること」です。
「金のなる木」という実験を知っていますか? ある研究者が、木にお金をぶら下げて文字通り「金のなる木」を作りました。研究者は、金のなる木の近くを通る人を観察して、どれだけの人が気づくか調べました。
その結果、携帯電話で通話している人に限定すれば、木にお金がぶら下がっていることに気づいた人はの6%しか居ませんでした。残りの94%は目の前のチャンスに気づかず、金のなる木を素通りしたのです。携帯電話で通話していない人は20%が気づき、80%の人は気づきませんでした。誰にでもチャンスは来ます。しかし、他のことに気が逸れているから、目の前にチャンスがあっても見逃してしまうのです。
チャンスに気づける人は、世の中の変化をよく見ています。また、どんな人が不満を抱えて、どんなものが人気かにも注意を払っています。サービス精神旺盛に、「どうすれば人に喜んでもらえるか?」を常日頃から考えることで、チャンスに気づく力も伸びていくでしょう。
2つ目は、「幸運から利益を出す方法をビジネスプロセスに落とし込めること」です。
チャンスに気づいても「それをどうやってお金稼ぎにつなげればよいかが分からない」のなら稼ぎようがありません。だから、チャンスに気づいたとき、そのチャンスを活かして「どうやってお金を稼ぐか」を考える力が要ります。
自分で会社を興してみたり、あるいは興している人のところで働いたりして、幸運を利益につなげる「仕組みづくり」の技術を磨くとよいでしょう。
3つ目は、「成功するために何らかの犠牲を払える(投資できる)こと」です。
言うまでもなく、チャンスを見つけて、そのチャンスをどう活かすかが分かっても、実際に行動を起こさなければ利益は得られません。時間を捧げるなり、お金を捧げるなりして、犠牲を払ってはじめて利益につなげることができます。
いまでは芸術の巨匠であるピカソは、14万点もの作品を作ったそうです。それだけの作品を作っていれば、「そりゃあ1つくらいはヒットしてもおかしくない」と感じませんか?
(1)幸運を察知し、(2)プロセスに落とし込み、(3)犠牲を払う。幸運を活かすためには、(1)~(3)の3つは、いずれも欠かすことができません。
人によって得意不得意はあるでしょう。たとえば筆者は(1)幸運を察知するのは苦手ですが、(2)プロセスに落とし込んだり、(3)犠牲を払ったりするのは、人一倍です。
自分の得意を活かしつつ、苦手なところは周りの人の手を借りて、チャンスを活かせる人間になりたいですね。
参考文献
Failure to see money on a tree: inattentional blindness for objects that guided behaviorDepartment of Psychology, Western Washington University, Bellingham, WA, USA