債券には、国や地方公共団体、企業などが発行するものがあります。一般的に株式や投資信託などに比べて安全性が高い投資商品として人気があります。
今回は、債券のうちの「個人向け国債」と「地方債」について、それぞれの特徴やリスク、利率などの違いを解説します。
個人向け国債と地方債を知り「違い」を確認
まずは、個人向け国債と地方債、それぞれの「違い」を確認してみましょう。●個人向け国債とは?
個人向け国債は、日本政府が個人に限定して発行する債券です。「国」が発行する債券であり、「元本保証がある」「最低保証金利が0.05%に設定されている」などにより、比較的安全性が高い投資商品として知られています。
個人向け国債には、「変動金利型10年満期」、「固定金利型5年満期」、「固定金利型3年満期」の3種類があり、どれも1万円から購入できます。利息は、半年に1度受け取ることができます。
●地方債とは?
地方債は、都道府県や市町村など、地方自治体などが発行する債券です。地方債は、道路や橋、公共施設の建設や修繕、災害復旧や環境整備など、地方自治体のさまざまな事業に利用されています。
地方債は国債と同様に安全性が高いことで知られていますが、発行主体が「地方自治体」で国よりも規模が小さいこともあり、国債と比べると投資のリスクは高いと考えられています。地方債は個人向け国債と同じく1万円から購入でき、利息は半年ごとに支払われます。
償還期間(債券の発行日から満期日まで)は5年・10年というものが多いですが、さらに長い20年というものもあります。
地方債の利率は、発行している地方自治体ごとに違います。例えば、2024年5月に発行された市場公募地方債では、利率が以下のとおりとなっています。
・長野県令和6年度第1回公募公債(10年)の利率は1.043%
・愛知県令和6年度第3回公募公債(10年)の利率は1.038%
・埼玉県第4回10年公募公債の利率は0.995%
個人向け国債「変動金利型10年満期」の5月10日から発売の利率は「0.57%」と比べてもその高さは一目瞭然です。
個人向け国債と地方債のリスクは何?中途解約するときは?
ここでは、個人向け国債と地方債のリスク、もしも中途解約するときはどうするか?についてみていきましょう。●個人向け国債のリスクは?
個人向け国債は、国が発行している借金の証書のようなものであるため、国が存続する限りは元本が保証されています。したがって、国債を購入した場合、元本割れするリスクは低いといえます。
個人向け国債の「変動金利型」であれば、市場金利の動向によって利率が変動となります。しかし、個人向け国債はいずれも、経済環境等の影響で実勢金利が下落しても「年率0.05%」の最低金利を保証しています。
また、もし予定外の出来事で、お金が少し必要になったときは中途換金ができます。
中途換金とは、個人向け国債の満期前に、その一部または全部を換金することです。中途換金は「1万円単位」で手続き可能。必要なお金を中途換金して、残りは満期まで置いておくこともできます。
ただし、中途換金ができるのは、購入後1年が経過した後でなければいけません。また、中途換金時には、直前2回分の利息相当額(税引き後)だけは差し引かれる点には注意しましょう。
●地方債のリスクは?
地方債の発行主体は地方自治体です。地方は国に比べて規模が小さいことにより、地方債の方が国債よりも安全性が低いと捉えられています。しかし、地方自治体で財政赤字を抱える場合、新規発行が制限されていたり、万が一、発行元の自治体が財政破綻しても利息や償還金の支払い財源が地方交付税から確保されたりする仕組みなので、実のところは国債と同じくらい安全性が高いと考える人もいます。
また、地方債も個人向け国債と同じく、満期前に中途換金できます。ただし、地方債が発行されると日々取引され、地方債の市場価格は日々変動します。中途換金するとなると、場合によっては購入時の価格を下回ってしまい、売却損が生じてしまうことになります。地方債は中途換金するよりも長期的に預けておくようにした方がよいでしょう。償還期間の長い地方債を購入するときは、慎重さが必要といえます。
まとめ
個人向け国債と地方債は、いずれも比較的安全性の高い投資商品です。とはいえ、実際に投資を検討するときは、ご自身のリスク許容度や投資目的に合わせて、個人向け国債と地方債のどちらが適しているかを判断しましょう。参照:
全国型市場公募地方債(個別債)
千葉県/中途換金(売却)は可能ですか?
財務省:個人向け国債窓口トップページ