人間関係のトラブルによるメンタル不調 ……長引いてしまうときの対処法
人間関係より、心身の健康を優先すべき
誰とでも仲良くなれればすてきですが、万人に好かれることなど、基本的には不可能です。相性もあるし、世の中にはいろいろな人がいますしね。もちろん自分に悪いところがあれば、反省して直した方がいいですが、相手に理不尽な言動が多かったり、どんなに改善を試みてもうまくいかなかったりする場合など、「物理的に距離を空けた方がいい」ことは多々あります。
人間関係のトラブルによって、鬱っぽくなったり、急に涙が出てきたり、じんましんが出たりする人は意外といます。あまりにひどい場合は、心療内科、精神科など、医療機関で診てもらった方がいいでしょう。
人間関係が原因で心や体が不調になっている人は、まず、「心と体が健康であることを優先する大切さ」を理解したいもの。基本、心身が不調になってまで付き合わなくてはいけない相手はいません。どんなに近しい相手であっても、です。
一緒にいるとトラブルが増えるような相手、争ってばかりいる相手とは、互いに消耗し、不幸になってしまうだけなので、距離を空けたり、縁を切ったりした方がいいのです。
パワハラを許す会社は「地獄」でしかない
現実的には、簡単に縁の切れる関係ばかりではありません。親、兄弟、会社の人間関係などの場合は、たとえ嫌いな相手でも「関係を続けた方がいい」と考える人は多いでしょう。ただ、自分の心身に不調が出るほど最悪な関係の場合は、距離を空けた方がいい場合もあるのです。例えば、「職場での人間関係」に悩んでいる場合は、会社の人事部や上司などしかるべき場所、人に相談すべき。場合によっては、「みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)」など、外部の組織、専門家に相談した方がいいケースもあります。
それでも改善されない場合は、「会社を辞める」という選択肢も検討してみましょう。意地悪をしたり、パワハラをしたりする人を許している会社なんて、例えるなら「地獄」だからです。そんな「地獄」にしがみついている必要はありません。真剣に探せば、もっと自分に合う場所が見つかる可能性は高いでしょう。
自分を犠牲にせず、逃げることも選択肢に
親、兄弟のトラブルも同様。いったん、距離を空けた方がいい場合は多いです。離れられる方法は探せばあります。もし自分が相手に依存していて離れられないのであれば、まずは自立心をもつことが重要です。逆に、相手が依存してくる場合でも、「自分しかフォローできる人はいない」「自分が全て支えなくてはいけない」なんてことはありません。人に頼ってもいいのです。なによりも、甘やかしたり、依存させたりすることが、必ずしも相手のためにならないことは理解した方がいいでしょう。
もちろん法律的には「自分の親および兄弟姉妹に対する扶養義務」というのはありますが、求められているのは、「余力のある範囲での扶養」であって、自分の生活を犠牲にしてまで、全ての面倒を見る義務はないようです。
私たちはまず、自分を大切にして、幸せにならなくてはいけません。そうでなければ、人のことも幸せにできないし、共倒れしてしまうこともあるからです。実は日本の殺人事件の半数以上は「親族間」だといわれています。「逃れられない」と思って縛られてしまうことで、メンタルが極限の状態にまで陥ってしまい、最悪な事態を招いてしまうことが起こり得るのです。
自分には手に負えない状況の時は、場合によっては、逃げた方がいいこともあります。とにかく1人で抱え込まずに、人に相談しましょう。
心身の不調は「ヘルプ」のサイン
はじめに「心と体が健康であることを優先する大切さ」を紹介しましたが、結局のところ、私たちは「自分を大切にすること」をおざなりにしがちです。特に人間関係のトラブルに悩んでいても、自分の限界まで頑張ってしまう人は、自己を大切にできていません。日頃から自分の心の声を聞き、つらいときは頑張り過ぎないことも大切なのです。
心身の不調は、自分自身が「ヘルプ」を出している状態。自分の感情にふたをしているから、他の部分で分からせようと、「自分自身がサインを出している」のです。私たちはまず、他の誰よりも、「自分自身と良好な関係でいる」必要があります。自分の心の声を無視している場合ではないのです。
自己といい関係を築けてこそ、人ともうまく付き合っていけるもの。さらに、自分を幸せにしてこそ、人に対しても思いやりを持てる余裕が生まれます。いつも自分の心の声を聞いて、無理はし過ぎないで、極力、自分に合う環境、人と関わっていくことを目指していきたいものですね。