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富裕層の「タワマン節税」がついに終了。豊洲タワマン街で、高層階はゴーストタウン化するのか?

円安、金利上昇、インバウンド需要など社会情勢が刻々と移り変わるなか、住宅市場ではどのエリアで、どのような不動産が話題となっているのでしょうか。不動産業界で豊富な経験をもつ1級FP技能士が、注目のエリアをホットな不動産事情とともに紹介します。今回は、豊洲エリアのタワーマンションです。

執筆者:All About 編集部

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豊洲タワマン街は、ゴーストタウン化するのか……?

豊洲タワマン街は、ゴーストタウン化するのか……?


円安、金利上昇、インバウンド需要など社会情勢が刻々と移り変わるなか、住宅市場ではどのエリアで、どのような不動産が話題となっているのでしょうか。不動産業界で豊富な経験をもつ1級FP技能士が、注目のエリアをホットな不動産事情とともに紹介します。今回は、豊洲エリアのタワーマンション(以下、タワマン)です。

タワマンが林立する豊洲

湾岸エリアで人気の商業施設「アーバンドックららぽーと豊洲」へ電車やお車で遊びに行かれたことがあるなら、豊洲エリアに林立するタワマンの数々に驚かれたのではないでしょうか。また、埋め立て地であることもあって、街が新しく、運河沿いの整備された歩道のきれいな環境に触れることで、ここに住んでみたいと思われた方も少なくないでしょう。

駅直結の「豊洲シエルタワー」をはじめ、駅から徒歩5分圏、徒歩10分圏と範囲を広げていくと、かなりの数のタワマンが林立しています。

豊洲タワマンの利便性と相場

東京メトロ有楽町線の豊洲駅は、有楽町駅や永田町駅のビジネス街に乗り換えなしで通勤することができ、池袋駅までも30分弱で移動できるため、交通の利便性が高いといえます。また、ゆりかもめの豊洲駅も利用できるため、お台場などにアクセスしやすく湾岸エリアを満喫できるということも魅力的です。さらに、電車以外にバスの交通網も充実しており、豊洲駅からは、東京駅や新橋駅、月島方面への路線バスもあります。

このように利便性が高いこともあって、豊洲エリアのタワマンは、港区のタワマンに比べれば手を出しやすい価格ともいえますが、それでも多くは「億ション」となっており、前出の「豊洲シエルタワー」(2006年築、70平方メートル超タイプ)も1億円台前半で取引されているようです。

もっとも、駅から徒歩5分圏、徒歩10分圏と範囲を広げていくと、所在階やお部屋の向きによっては1億円未満で取引されているようですが、それでも5000万~6000万円台で探すのは難しいといった状況になっています。

タワマンの定義

実際に、不動産検索サイトでタワマンを検索されたことがあれば、条件設定として、「タワマン(20階以上)」となっているため、20階以上のマンションという感覚かと思われます。

もっとも、タワマン、つまりタワーマンションという用語自体は建築基準法や区分所有法などの法的な用語ではなく、階数による定義などもないというのが実際のところです。

そのため、一般的にタワマンとは、住居用の建築物で「60メートル以上の建物=超高層建築物」のことをタワーマンションと呼んでいるのですが、高さ60メートル以上のマンションといわれるよりも、階数にして20階以上というほうが感覚的にもわかりやすいですね。

不動産業界におけるタワマンの価値

2023年までは、相続税対策に「優れモノ」だったタワマンですが、2024年以降は相続税対策といった観点からは価値が低くなってしまったといえます。

というのも、もともとは、階層が1階でも50階でも、床面積が同じ部屋であれば、土地部分の相続税評価額は同額になっていました。また、相続税評価額の算出時に使用される固定資産税評価額は、建物の材料や施工方法、専有面積などに応じて決まることから、階数の違いによる眺望のよさなどを含む人気やプレミアは考慮されていませんでした。

そのため、マンションが高層階であればあるほど、市場価格と相続税評価額との差が広がっていき、結果的に、相続税の負担を軽減する効果を期待できました。

しかし、国税庁は、令和6年(2024年)1月1日以降、相続・贈与で取得した区分所有形態のマンション評価額の計算ルールを変更したため、新しいルールでは、築年数が浅く高層階にあるマンションほど、相続税評価額が高くなるような計算式が設定されたのです。

もっとも、相続税対策に「優れモノ」だったタワマンが、通常の不動産とほぼ同様の評価になったことで、タワマンの高層階が競って売りに出されたり、買い手がなかなか見つからなかったりする状況でもありません。今回のルール変更によって、高層階がゴーストタウン化するといった現象は、今のところ起きていないようです。

タワマンを買うときに注意すべき点

引き続き、人気の高いタワマンですが、将来的に可能性を否定できない大震災については注意が必要です。

東日本大震災のときには、停電の影響で、エレベーターが使えず高層階から地上まで階段を使って移動しなければならなかったり、給排水ポンプの電源もなくなり、給水されなかったり、排水できなかったりする問題が発生しています。

築浅のタワマンであれば対策が練られ、1週間ほどの予備電源が確保されている場合もありますが、そうでなければ、これらの問題を覚悟しなければならないでしょう。

また、震災後、タワマンの「高層階での生活はこりごり」だとして売りに出す場合にも、それまでの相場では売れなくなるといった問題もあります。東日本大震災のときには、それまでの相場の1~2割減でもなかなか売れないといった状況もあったため、この点についても覚悟の上、タワマンの購入を検討しなければならないでしょう。

文:みちば まなぶ(ファイナンシャルプランナー)
大学卒業後、大手ハウスメーカーや不動産業者などを経て、住宅ローンを切り口に、住宅購入をはじめとしたライフプランニングを提案する1級FP技能士。
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