Q. 手持ちの資産を現金化するか、インフレに備えて投資を続けるべきか迷っています
「今後の人生に備えて蓄えた資産ですが、現金化すべきか、インフレに備えて投資を続けるべきか悩んでおります。夫はこのほど給料は半減しましたが、再就職が決まりました。私自身は中途で入社した現勤務先で、あと数年(会社がなくならないかぎり)は継続して働こうと思っております。子供はいないため、夫婦だけの生活です。現状、住宅ローン(残高が1800万円)、生命保険も含め年間570万円ほどかかっています。暮らしには満足しており、今以上の贅沢をするつもりはありません」(のりさん/女性/50歳/正社員)<世帯年収>本人:700万円、夫:300万円
<金融資産>現金預金:4000万円、リスク資産:6900万円
インフレに備えて投資を続けるべきか悩んでいる50代女性
A. 「ご相談者の場合、投資を継続してもよいのではないでしょうか」(深野さん)
金融資産のうちリスク資産が3分の2弱を占めているので、少し割合が多いように思いますが、投資は継続してもよいと思います。インフレ対策を考えるのであれば、金融資産を十分に持っていらっしゃるので、住宅ローンを一括で返済してしまってもよいのではないでしょうか。もし、住宅ローン控除を利用していないのであれば、やはり利息を払うのはもったいないですから。
あと、ご相談者の場合、資産運用目的などでなければ、夫婦二人ですので生命保険も必要ないように思います。現在、夫婦の世帯年収から考えると手取りは年間800万円ぐらいでしょうか。そこから生活費の570万円を差し引くと、年間で230万円くらいは貯金できます。
もし60歳ぐらいまで働くとすれば、あと10年あるわけです。そうすると、今の貯金で住宅ローンを一括返済しても、60歳までには十分に資産をリカバリーすることができます。仮に生命保険も見直せれば、貯蓄ペースはもっと上がりますよね。
資産的にも余裕があるので、投資を続けても大丈夫だと思いますが、住宅ローンの返済や生命保険の見直しについては、少し検討してみてもよいのではないでしょうか。
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教えてくれたのは……深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など