人間関係

母子家庭の平均年収272万円…シングルマザーのお金問題「働き詰めで子どもが荒れてしまった」

ひとり親となった理由の7割以上が「離婚」である。そして、特に女性のひとり親にのしかかるのがお金の問題だ。1日中働き詰めでケアが足りずに子どもたちが心身のバランスを崩すことも珍しいことではない。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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女性のひとり親は、経済的な問題で苦労することが多い

女性のひとり親は、経済的な問題で苦労することが多い

こども家庭庁による「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査」によれば、母子世帯数は 119.5 万、父子世帯数は14.9万にのぼるという。ひとり親になった理由は、母子世帯の約80%、父子世帯も約70%が離婚である。

ひとり親になった母や父は、その後、どうやって子どもたちと生きてきたのだろうか。

結婚5年でDV夫から逃げた二児の母

女性は協議離婚の際、養育費の取り決めなどをしない人も少なくない。DVやモラハラなどで「とにかく離婚したい」「夫と関わりたくない」ため、離婚を優先させて取り決めできなかったという理由が大半だ。

「うちもそうでした。4歳と2歳の子を連れて夫のDVから逃げて2年、知人が間に入ってくれてようやく離婚できた。養育費も一応、決めたんですが、振り込まれたのは最初の3カ月だけ。知人は元夫側の人間でしたし、とにかく関わりたくない一心でした」

スミコさん(48歳)は、離婚した13年前を振り返る。結婚生活はわずか5年だった。独身時代はときに強引にぐいぐい引っ張っていってくれる彼が魅力的だったが、結婚後、それはモラハラに変わった。

「自己中な人でした。子どもができれば変わるかと思ったけど変わらなかった。子どもがうるさいから家で寝られないと言って、平日は帰ってこないこともしょっちゅう。それなのに帰ってくればセックスを求めてくる。上の子が寝室の前で泣いている、下の子は隣のベビーベッドで泣いている。それなのに無理矢理され続けたことがあります。突き飛ばしたら殴られて……。それが家を出たきっかけです」

離婚後、実家から母が手伝いに来てくれた。彼女は母の助けを借り、ひたすら働いた。朝から晩までパートを3つも掛け持ちしていたこともある。ずっと母にいてほしかったが、父が病に倒れたこともあり、上の子が小学校に入るころに母は実家に戻っていった。

「その後は完璧にひとりでした。夜の仕事をしていたこともあります。そこはシングルマザーのためにいろいろ気を遣ってくれたのでありがたかったけど、朝から深夜まで働き過ぎて倒れてしまって」

必死で働く日々、思春期になると子どもは荒れた

子どもたちが中学生になるころ、店のお客さんが自分の会社に雇ってくれて、ようやく生活が少し落ち着いた。それでも経済的には苦しかったので週に3回は近所のスナックで働いていた。

「子どもたちとのコミュニケーションはとっているつもりでした。だけど彼らにとってはやはりいい母親ではなかったんでしょう。子どもたちが荒れるようになっていった」

長男は中学時代、他校の生徒とケンカを繰り返していた。現在、高校生になり、大学を受けたいと言い出してから変わった。「あのころはお母さんがいなくて寂しかった」と先日、本音を打ち明けてくれたという。

一方、長女は小学生のころから掃除や洗濯などを一生懸命やってくれていたのだが、疲れてしまったのだろうか、現在は中学校に通っていない。

「私が子どもたちの人生を変えてしまったんですよね。そう思うと離婚などしなければよかったのか、私が我慢すればよかったのかと考えることもあります。でもあの状態だったら、私だけでなく子どもたちだって心身の危険があった。息子はトンネルを抜けて光が見えてきたけど、娘は今、苦悩と闘っている。今は私が娘に寄り添わなければと思っています」

>朝から晩まで働き詰めの挙げ句に……
 
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