Q. 物価上昇を考えてさらに株式投資をするか、年齢的にも安定資産を増やすべきか悩んでいます
「1年くらいでいわゆる勤労収入がなくなります。年金は65歳で年額210万円程度になりそうです。加給年金を合わせて250万円程度です。妻が65歳になると、加給年金がなくなり、彼女の年金で165万円くらいが加わり、合計で380万円くらいになります。資産的には十分持っていると思っております。しかしながらインフレが予想される中、今の資産配分でもよいのか迷っています。インフレ耐性の高い株式等の比率を上げた方がよいのか、年齢的に安定資産を増やした方がよいのかを教えてください」(まるまるさん/男性/61歳/正社員)<世帯収入>本人:年収550万円、妻:年収148万円
<金融資産>現預金4500万円/リスク資産2億2000万円
定年後を見据えた資産配分について検討している60代男性
A. 「これ以上資産を増やすより、安定資産を増やすことを検討してみてください」(深野さん)
物価の上昇率を何%ぐらいと考えるかですね。ただ、日本でこれまで年率10%の物価上昇が10年間続いたことは、一度もありません。オイルショックの時に年間20~30%物価が上がったことがありましたが、それでも2~3年続いたくらいです。現在、ご相談者の金融資産の割合を見てみると、8割くらいがリスク資産になります。保有しているリスク資産が年6%で回ってくれれば、物価が年3%上がったとしても、資産全体では3%を超える利益が出ていることになります。そうすると、今の物価の上昇率(2~3%)ぐらいであれば、余裕を持ってカバーできますよね。資産配分を変更しなければ、単純に考えるとリスク資産が年5%以上で回れば、購買力が低下しないことになります。
そう考えると、年齢的に少しリスクを取り過ぎているようにも思うので、できれば安定資産を増やした方がよい気がします。例えばですが、現預金とリスク資産の割合を半々くらいにしてもよいのではないでしょうか。
あとは今後、どのように資産を使っていくのかを考えてみてください。これまで40年間、資産を増やすことを頑張ってこられたわけですから。年金も380万円もらえますし、資産は今の額で十分だと思います。ですので、さらに資産を増やすことよりも、これから奥様と一緒に資産をどう使うのか、考えてみてもよいのではないでしょうか。
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教えてくれたのは……深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など