そんな「元祖 鯱もなか本店」ですが、実はほんの4年ほど前は“廃業寸前”の状態でした。後継者はおらずコロナ禍で売上は激減。100年以上続いたのれんを下ろすのも時間の問題だったのです。
ところが、そこから奇跡のV字回復を果たします。売上はどん底だった時期から実に10倍増! 一体どんな方法でピンチを乗り越え、業績を飛躍的にアップさせたのでしょうか? そして、なぜ今こんなに多くの人に愛されているのでしょうか?
歴史がある割に地元では“知る人ぞ知る”存在だった
「元祖 鯱もなか本店」は1907(明治40)年創業。1921(大正10)年に鯱もなかを売り出すと、たちまち人気の名古屋土産に。戦前までは、青柳ういろう、納屋橋饅頭(現在は販売休止)と並んで名古屋土産御三家に数えられる定番でした。しかし、名古屋城や名古屋駅などの売店への卸売りに特化していたため、買い求める人のほとんどが観光客。そのため、歴史がある割に地元では知る人ぞ知る存在でもありました。
この販売戦略が、コロナショックの影響をより深刻なものにします。お出かけができない世の中になり、お土産需要がほぼゼロになってしまったからです。
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