韓国

なぜ韓国でいち早く「ペット同伴搭乗」が実現したのか。背景に“日本と異なる”ペット事情の影響が(2ページ目)

2024年年初に発生した羽田空港の航空機衝突事故は記憶に新しい。その後「ペット同伴搭乗」が議論を呼んだが、お隣の国の航空会社はどうだろうか。韓国の航空会社とペットの扱い方、そしてペットとの共生社会を目指す韓国の現在を紹介する。

松田 カノン

執筆者:松田 カノン

韓国ガイド

ペット用の機内食、マイレージサービスもある

搭乗するペットに対するサービス

搭乗するペットを対象にしたペット向けサービスも拡大しつつある

航空業界も例外でなく、ペッペム族やペッミ族を顧客に取り込むため、ペット関連のプロモーションを打ち出さない企業はない。ペットの機内同伴搭乗はすでに定着したサービスであるために、韓国では今、+αのサービスにおける競争が始まっている。

そのため、各社からさまざまなペット向けプロモーションが打ち出されている他、利用料金も国内線約2万ウォン(2283円)~、国際線7万ウォン(7993円)~と比較的リーズナブルだ。
 
「チェジュ航空」はペットフレンドリー航空会社としてよく知られている。2023年には、韓国の航空業界で初となるペットのための機内食ペットミールを販売した。

ペット食品専門製造社と共同で開発した鮭、ささみなどのメインミール、他にもイチゴ、キャベツ、かぼちゃ、ブルーベリーなど犬に有用な栄養素を凍結・乾燥させる技法で作られており、各1万5000ウォン(1712円)で販売され話題となった。
 
チェジュ航空の報道資料によると、2019年には7000件ほどだったペット同伴搭乗は、2022年には1万8000万件まで伸びている。利用者増加に伴い、「ペットパス」というサービスも導入した。これは、搭乗のたびにスタンプが積算され、6個でペットの運送料金が国内線50%割引、8個で国内線(片道)無料となるというもの。ペットのためのマイレージサービスというわけだ。
 
2024年4月には、韓国の航空運送業界初、ペット専用機の運行を実施し、チケットは7日で完売した。ペットは専用キャリアの中に座ることが条件ではあるが、保護者の隣の席に座り、空の旅を楽しんだ。緊急時に対応できるよう獣医師も搭乗したという。6月には第2回目の運行も決定している。

金浦空港には2023年、8000平方メートル規模のペットの休憩所「ペットパーク」がオープンしている。ドッグマネージャーも常駐しており、主に搭乗前の犬が利用しているそう。出発当日は、このペットパークで遊んだ後、記念撮影、記念品贈呈などのイベントを行ってから搭乗、出発というスケジュールで、ペッペミ族やペッミ族たちからの注目を集めている。
 
ティーウェイ航空も搭乗ごとに無料搭乗の特典を受けられるスタンプ制度「t’pet」を実施している。2021年にはペットの名前を記載したペット専用搭乗券を発給開始。

その他、ペット専用トラベルキットの提供や、グッズ開発も行っており、特にペット用客室乗務員スカーフとユニフォームは人気商品だ。「t’pet」利用回数に応じてそれらの商品が贈呈されることもある。
 
イースター航空は動物保護団体とともに遺棄犬保護・里親キャンペーンを実施し、里親になった顧客には、国内線の航空券無制限提供とペットパスポートを支援することを発表している。
 
そして、韓国の2大航空会社もペット機内同伴搭乗サービスに取り組んでいる。大韓航空は、韓国の航空会社の中でもいち早くペットの機内同伴搭乗を実現した。このサービスに関しては、すでにキャリアも長いが、新たにSKYPETSサービスを導入し、より本格的にペット同伴搭乗サービスに乗り出している。

アシアナ航空もペットと機内同伴搭乗を希望する顧客の増加に合わせ、対象顧客にペットのエサ、おやつ、おもちゃ、折りたたみ皿などペット専用旅行キットを無料提供するなどのプロモーションを行ってきた。
 
動物を好まない顧客への配慮としては、各社、間隔を空けた配席を行うなどの対策を行っている。例えばエアソウルの場合、セルフチェックイン時にペットがいる座席を表示することで、動物を好まない人たちがペット同伴搭乗者の近くの座席にならなくてすむよう工夫している。

>次ページ:韓国でいち早くペット同伴サービスが実現した理由
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