資産運用

長期投資を検討するなら「NISA」? NISAを始めるなら、リスクとリターンのバランスが大事

投資初心者の方でNISAを始められる方も多いでしょう。まずはリスクとリターンのバランスを理解することが大事です。「分析や勉強して行うのが投資で、何も考えずに行うのが投機」と私は考えます。

田代 昌之

執筆者:田代 昌之

資産運用ガイド

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投資初心者の方でNISAを始められる方も多いでしょう。まずはリスクとリターンのバランスを理解することが大事です

投資初心者の方でNISAを始められる方も多いでしょう。まずはリスクとリターンのバランスを理解することが大事です

さぁ、4月に入りまして、東京株式市場は新年度相場に入りました。4月第1週は、新年度特有の公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による売り(一定のルールに則って利益が出ていた場合、そのいくらかを利益確定しなくてはいけない)が入ったとの観測から、やや軟調推移です。ただ、日本経済は「脱デフレ」に向けて一歩一歩着実に進んでいますので、さほど心配はいりません。

さて、「マイナス金利解除でどうなる?「金利のある世界」と上手にお付き合いする方法」にて、「金融政策の正常化」による金利上昇は緩やかになる見込みであるとお話をしました。株式市場への影響は限定的となり、脱デフレ、緩やかなインフレに向かうことも予想されるため、各自のリスクを負える許容度に応じた範囲で、長期的な投資をするメリットはあるとお伝えしていましたので、今回は、具体的な運用の考えをお話します。主に「投資自体が初めて」「運用は預貯金しか行っていない」といった投資初心者向けにご説明できればと思います。

前回、長期投資を検討するのであれば、「NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)」を利用したほうがいいと軽くお話ししましたが、ここではまずNISAの活用の基本的な考え方をご紹介します。

NISAはスタートして10年

NISAという制度は2014年にスタートし、今年10年目を迎えました。そもそもNISAとは、「NISA口座で保有する金融商品から得られる利益が非課税となる」制度です。大きくは、金融商品を購入した後、値上がりしたタイミングで売却した際に生じる値上がり利益(譲渡益)と、株式を保有することで生じる配当金(配当益)の二点が非課税となります。

NISA制度には、「NISA口座で年間で投資できる額」と「NISA口座で最大で保有できる投資金額」には上限があります。

制度スタートから10年目を迎えた今年2024年、これらの限度額が引き上げられました。ほかにも、非課税となる保有期間も以前は期限がありましたが、無期限となり、NISA制度は大幅に拡充されました。詳細は、金融庁のNISA特設ウェブサイトをご覧ください。

NISAは譲渡益か配当益がないとメリットはゼロ

気を付けなくてはいけないのは、NISAは、しっかりと配当を出している株式に投資するか、投資した株式もしくは投資信託、上場投資信託(ETF)が値上がりしない限り、NISAのメリットを享受できない点です。つまり、配当金を出さない株式を購入後、ずっと株価が値下がりしている場合、利益が生じないのでNISAでは何も非課税にならず、メリットが何もないということです。

「NISAは儲からなかったら何も意味がないじゃないか?」といった質問をよくセミナーでもお聞きしますが、NISAとはそういった制度です。投資にはどうしてもリスクがつきものです。リスクがない投資にはリターンも存在しません。一般的にリスクが高い投資は高いリターンが期待できますし、低いリスクには低いリターンというバランスがあります。

リスクとリターンのバランスがおかしいのは詐欺と考えるべき

ちなみに、リスクとリターンのバランスがおかしい時は、「詐欺」を疑うべきでしょう。

例えば、非常に値動きの激しいビットコインのような暗号資産を投資対象として、毎月投資した金額の20%が配当金(もしくは分配金)として必ずもらえる、という投資話があった場合、真っ先に「詐欺」と疑うべきです。まず、投資に「必ず」は存在しません。それが価格の変動幅が大きいビットコインであればなおさらです。実際に暗号資産投資を行ってきた経験上、そのような話が存在しないことは明白です。

こうしたリスクとリターンのバランスをどのように理解して、向き合うかで投資はスタートします。「分析や勉強して行うのが投資で、何も考えずに行うのが投機」と私は考えますので、NISAでも何も考えずに行うと、それは投機になると思います。

基本、NISAは長期投資が前提

さて、そんなNISAには、活用できる枠が2つあります。「成長投資枠」「つみたて投資枠」といい、それぞれ「年間で投資できる額」や「投資対象商品」に違いがあります。

対象商品は、「成長投資枠」では株式や投資信託、ETFがありますが、「つみたて投資枠」では投資信託しかありません。

先ほど説明した「リスクとリターンのバランス」を踏まえると、「つみたて投資枠」は投資対象が限られるため、高配当利回り銘柄や不動産投資信託(REIT)、海外インデックスファンドを狙うのに適していると考えます。一方、「成長投資枠」は投資対象が株式にも広がるので、テンバガー狙いのグロース銘柄への投資が向いていると考えます。

基本的にはどちらも長期投資を前提としていますが、毎月コツコツと購入する「つみたて投資枠」のほうがより長期投資のイメージとなります。
 
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