貯蓄

変額保険とNISA(つみたて投資枠)どちらがいい? FPが考える優先順位

今年1月にスタートした新NISAをきっかけに、NISAと変額保険が比較される機会が増えているようです。自分にとってどちらが必要なのか、比較のための考え方をお伝えします。

二宮 清子

執筆者:二宮 清子

家計簿・家計管理ガイド

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今年1月に新NISAがスタートしたのを機に、NISAで資産形成を始める人が増えています。同時に「NISAのつみたて投資枠と変額保険ではどちらがいいか?」という質問を受けるようになりました。それぞれの共通点・相違点、メリット・デメリットを確認してみましょう。
  • NISA(つみたて投資枠)……少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度
  • 変額保険……積立金を投資信託などで運用し、運用実績によって受け取れる保険金や解約返戻金が変動する保険商品
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NISAと変額保険、あなたに向いているのはどっち? しっかり比較検討しよう 

NISAのつみたて投資枠と変額保険の共通点と相違点

まずはNISAのつみたて投資枠と変額保険の共通点・相違点を見ていきましょう。

<共通点>
NISAのつみたて投資枠と変額保険の共通点は、投資信託を毎月一定額購入し、長期にわたって資産形成する点です。そのため、投資信託の運用実績によってお金が増えたり減ったりするといった運用リスクが伴う点も同じです。

<相違点>
NISAと変額保険の一番の大きな違いは死亡保障の有無です。変額保険は「保険」なので、主に死亡保険金の確保という目的があります。NISAと変額保険、どちらを選ぶか迷った際には、まずは死亡保障が必要なのかどうかを考えてみましょう。
  • 死亡保障が不要な場合→NISAのつみたて投資枠
  • 死亡保障が必要で、かつ資産形成したい→変額保険

NISAのつみたて投資枠のメリットとデメリット

次に、NISAのつみたて投資枠と変額保険のメリット・デメリットをそれぞれ確認していきましょう。まずはNISAのつみたて投資枠です。

<NISAのつみたて投資枠のメリット>
  • 運用益が非課税……NISA口座内で得られる運用益や譲渡益は非課税のため、将来の投資収益を最大化することができます。
  • コストが安い……つみたて投資枠で買える投資信託は、販売手数料はゼロで、運用中にかかる信託報酬(投資信託を管理・運用してもらうための経費)も低コストのものに厳選されているため、低コストで運用が可能です。
  • いつでも引き出せる……積み立てた資産はいつでも売却して引き出せるため、流動性が高く使い勝手が良いでしょう。
<NISAのつみたて投資枠のデメリット>
  • いつでも引き出せる……いつでも引き出せるということはメリットですが、デメリットにもなります。なぜなら、裏を返せば「貯まりにくい」からです。また、「○○ショック」といった株価の暴落が起きた時に、不安になって売却したり積み立てをストップしたりする人も少なくありません。資産形成は長く続けて初めて功を奏すため、マーケットの状況に関わらず長期で続けることが大切です。
  • 所得控除はない……生命保険料控除のような所得控除はありません。

変額保険のメリット・デメリット

では変額保険のメリット・デメリットはどうでしょうか。

<変額保険のメリット>
  • 死亡保障がある……死亡保障があるため、もしもの場合には遺族に死亡保険金を残すことができます。死亡保険金額を1000万円で保険契約すれば、払い込んだ保険料が30万円だったとしても、もしもの場合には1000万円の死亡保険金が支払われます。
  • 解約しにくいため貯まりやすい……死亡保障である以上、短期で解約する人は少ないでしょう。特に、契約日から10年間は「解約控除」という解約費用を求められる場合が多いので、元本割れのリスクを避けるためにもこの期間は解約を避けるのが一般的です。結果的に長期的な資産形成ができます。
  • 生命保険料控除の対象……最大で所得税4万円、住民税2.8万円の所得控除が受けられます。
<変額保険のデメリット>
  • 解約控除がある……10年以内に解約すると解約控除があるため損が出る可能性があります。お金の流動性や自由度を確保したい人には向きません。
  • コストが割高……通常の運用コストに加え、保険関係費用を差し引かれるため、運用成績はNISAより劣ります。

NISAのつみたて投資枠と変額保険の併用もあり

ここまで述べたメリットとデメリットを十分に考慮した上で、ご自身のニーズや目標に適しているのはどれかをしっかり検討することが重要です。

お金に余裕があれば、NISAのつみたて投資枠と変額保険の併用をすることで、それぞれの良いとこどりをすることもできます。

反対に保険と資産形成を分離して考える方が、それぞれのニーズに合った商品を選択しやすく、コストも抑えられる場合があります。死亡保障は掛け捨てで保険料の安い「定期保険」や、さらに保険料が安くなる「収入保障保険」で備え、資産形成はNISAを活用するといったように分離させることで、毎月の支出は抑えられるでしょう。

FP二宮が個人的に考える優先順位は……

それぞれの目的、死亡保障や資産形成に充てることのできる金額によって、優先順位は異なってきます。個人的には、まずは貯蓄と最低限の死亡保障で家族を守り、そのうえで資産形成して未来に備えるというスタンスです。そう考えると、優先順位は1位は貯蓄、2位は死亡保障、3位はNISAのつみたて投資枠、4位は変額保険となります。参考までに。

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