褒め言葉を素直に受け止められない……どうすればいい?
<目次>
「なぜ褒めてくれるのか」の判断は大事
もちろん褒め言葉が全て「本心から言われている」とは限らないので、受け取り方にも注意が必要なことがあります。「単なるお世辞を言って、とにかく距離を縮めたがっているズルい人」「相手の気分を良くさせて、何かに勧誘したがっている人」もいれば、「ただただ純粋にすてきだと思って褒めている人」もいます。だから、冷静に「なぜ、相手は褒めてくれるのか」は判断した方がいいもの。とはいえ、表向きは素直に受け取って「そんな風に言っていただけてうれしいです。ありがとうございます」と言っておいた方が、“大人の対応”だといえるでしょう。
褒め言葉を受け取らないのは失礼になることも……
いくら相手が本心から褒めていても、自分に自信がなくて素直に受け取れない人は、ちょっと心をこじらせています。自己肯定感が低いと、褒め言葉はもちろんのこと、愛情も素直に受け止められません。たとえば、どんなに相手に「好きだ」と言われても、「私なんて愛されるに値しない」という思いが根底にあるので、相手のことを信じられないのです。本人は自分のことで頭がいっぱいの状態でしょうが、そんな態度をとってしまうと、相手を傷つけてしまいます。もっと相手の立場に立ってものを見ることも大切なのです。
なかには、褒められたら、「いえいえ、そんなことはありません」と謙遜する人がいます。本人は謙虚なつもりでいますが、褒めた側には「自分の言葉を否定された」「受け止めてもらえなかった」と感じさせてしまうことが多いもの。それは失礼になってしまいます。
自己肯定感が低いまま幸せになることはありません。自分を受け入れず、否定したままだからです。自分が「自分の1番の味方」になれないと、「周りに自分はどう思われているのか」ばかりが気になり、「他人軸」で生きるようになってしまいます。
幸せになりたければ、「自己肯定感を高めること」を目指した方がいいでしょう。
自己肯定感が低いのは「社会の仕組み」が原因?
私たちはこの「社会の仕組み」によっても、自己肯定感が低くなってしまっています。こんな学歴社会だと、「勉強が不得意だと自分はダメな人間だ」と思いやすいし、就職しても出世争いで同期に抜かれてしまうと、自信を失いやすい。でも、実際に学歴が低くても、出世できなくても、ダメな人間かというと、そんなことはありません。人の価値は、そんなもので測られるほど単純ではないからです。
さらにこの世界では、一見「正しそうな見本」がメディアなどを通して発信されるため、それに価値観の影響を受けていることも少なくありません。例えば、「美しさ、格好良さの価値観」は、本来は人それぞれのはずです。でも、「こういうのが美人ですよ、格好いいですよ」という価値観を刷り込まれていることもあるのです。
「美しさ、格好良さの価値観」を刷り込まれた人たちは、自分がそれに当てはまらないと、「私は醜いんだ」と思って、落ち込んでしまうもの。でも、本当にそうなのかきちんと考えることは大切です。美しさ、格好良さの判断基準は、時代によっても、国によっても、随分違いますしね。
つまり、この世界は、「自分にとっての価値観、判断基準、美意識」を持っていない人ほど、世の中の価値観に合っていない自分は「ダメな人間なのだ」と、自信をなくしやすくなっているのです。
「自分なりの価値観」を持つことが重要
自信を持つために大切なことは、「物事の本質を見る癖」を身につけて、世間ではなく、自分にとっての「すてきな人の在り方、姿はどうなのか」をきちんと考えて、自己を向上させていくことです。そうしたら、自己をだんだん好きになっていくし、人と比べる必要もなくなります。その結果、他の人よりも劣っているからといって、いちいち落ち込むことはなくなるでしょう。この世界で、「自分」という人間は1人しかいません。全く姿形が同じクローン人間がいるならまだしも、全く違う人と比べたところで意味がありません。
ある部分で相手の方が優れているところがあっても、他の部分では自分の方が優れているところもあるはずですし、トータルで見たら、どっちが優れているのかなんて分かりません。私たちができることは、「自分」という素材を最大限に磨き、向上させることだけです。
自分なりの価値観や判断基準がきちんとできてくると、個性も自信も魅力も出てきます。そんな自分を褒めてくれる人が現れたとき、素直に喜べるようになるでしょう。
褒めるときは、「相手の心に響く褒め言葉」を
例え本心で言われたとしても、ピンとこない褒め言葉があるのも事実。その場合は受け止められなくても仕方ありません。だから、自分が“褒める側”になった時も、注意が必要です。例えば、日頃から周りの人に「かわいいね」と言われている人に、「かわいいですね」と褒めたところで、相手の心に響くことはないでしょう。なにより“表面的な部分”を褒められても、大して喜ばないことが多いです。それは、相手のことをよく見ていないから、伝わりにくいところもあるのかもしれません。
褒めるときほど、相手をよく理解し、具体的に褒めた方が、相手の心に響きます。例えば、「持っている小物がどれもオシャレで、センスがいいですね」「常に相手の立場を考えて行動していて、優しいですね」「いつもいろいろなものにアンテナを張っていて、好奇心が旺盛ですね」など。
これらは相手をよく見ていないと言えない言葉ですし、言われた方も単に褒められているだけでなく、「自分のことを理解してくれる人がいる」というところでもうれしくなることが多いのです。だから、人を褒めるときは、表面的なところだけでなく、「奥にある魅力」もきちんと理解した方がいいでしょう。
褒めても、褒められても、互いがいい気分になるように、心がけたいものですね。