防災は「自助・共助・公助」といわれています。自助は自らで守ること、共助は地域やご近所などと共に守ること、公助は国や自治体などで公的に守ってもらうことです。その中でもやはり重要となってくるのが、1番身近な自助。日頃の備えは、いざというときに自分や家族の身を守るために大事なものです。
筆者は東日本大震災後、福島県いわき市の応援を続けており、そこで被害に遭ったさまざまな人の話を聞いていますが、実際に持っていてよかったものと、不要だったものは人によって違います。
それはどのようなタイミングで、どのような状況に置かれるかによって、必要になるものが変わってくるからです。そのため、「どこかでこれはいらないと言っていたから」と安易に切り捨てることはせずに、幅広い視野で自分に起こりそうなケースを考えて防災グッズを備えていくことが必要です。
今回はどの家庭にも備えてほしい防災グッズをご紹介しますが、必要なものはこれで全てではありません。他にもあると安心できるものもありますので、備えの一部としてご覧ください。
なお、食料の備蓄に関しては別記事で「1年ストック」について書いています。
【関連記事】ローリングストックに挫折してても大丈夫! 新しい食料備蓄法「1年ストック」とは
非常用持ち出し袋
非常用持ち出し袋は、あくまで「今ここから逃げなくてはならない」ときに持ち出すものです。災害中に必要となる1~2日分のもの、命を守るためのものとイメージするといいでしょう。・日持ちする、簡易に食べられる食べ物(羊羹など)や水
・アルコールタイプとノンアルコールタイプのウェットティッシュ(アルコールタイプは除菌でき、ノンアルコールタイプのものは体を拭いたりするのに使える)
・アルミ保温シート
・ヘッドライト(ヘッドランプ)
・お金(小銭と千円札数枚)
・モバイルバッテリーとなるもの(手回しや乾電池など、電源がない場所で一度使い切ってしまっても使えるようなものが望ましい)
ここからは、自宅に備えておきたいものをご紹介します。
簡易トイレになるペットシートとゴミ袋
断水時や下水道管の破損などで水栓トイレが使えないときのために備えたいのが簡易トイレ。市販の簡易トイレを人数分そろえようとするとかなりお値段がかかってしまいますが、大きめのゴミ袋とペットシーツであれば安価に備えることができます。ランタン(乾電池やソーラータイプ)
地震のときに「ろうそく」は危険です。余震で倒れて火災が発生する原因にもなりかねません。また真っすぐ前を照らすだけの懐中電灯だと、停電時の暮らしの中で使うには不便です。そこで置いて横に光が広がるランタンタイプがおすすめです。乾電池タイプのものであれば予備の乾電池も用意しましょう。ソーラータイプであれば日中充電しておき、夜間に使うことができます。欲をいえば、乾電池タイプとソーラータイプの2種類を準備しておくと安心です。
ポータブル電源とソーラーパネル
地震以外でも台風やその他の原因で停電になることはあります。そのようなときにポータブル電源があると安心です。さらにソーラーパネルも備えておくと便利です。どちらも安いものではありませんが、停電時の安心感は高まります。筆者はこのポータブル電源を3年前に購入してから、2度ほど停電に遭いましたが、真夏の停電時でも扇風機が使えましたし、スマートフォンやパソコンも使えたので「情報が入ってこない」という不安は全くありませんでした。
ラジオ・テレビ(乾電池や手回しタイプ)
大きな災害で停電になったとき、電源車が来てくれるまで数週間かかることもあります。その間にスマートフォンの充電が切れてしまうなど、情報が全く入ってこないとなると不安は一層高まります。筆者が持っているものは乾電池や手回しでラジオやテレビ(ワンセグ)を使うことができ、スマートフォンへの充電もできるものです。手回し5分で使えるのはラジオなら約60分、テレビなら約5分と長くはないですが、停電が長引き乾電池の予備もなくなってしまったときでも使えるという点で安心できます。
カセットコンロ
ガスコンロやIHコンロが使えない状況となったときを考え、カセットコンロは用意しておきたいもの。カセットコンロがあると食べられるものの幅がグッと広がります。ただし、カセットコンロは10年の使用期限があります。ガス漏れ防止のためのゴムパッキンが劣化し、ガス漏れの危険が出てくるからです。カセットガスも同様に期限があるので、確認しておきましょう。
ペット用のケージ、ひも、ごはん
家族同様に暮らしているペットがいる人は、ペットのことも気にかけてあげたいものです。ペット用のごはんとともに、避難所など家以外の場所でも滞在できるようなケージや、ハーネス、リードなど、普段使っていなくても準備しておくといいでしょう。消火器
災害時ではなくても普段の暮らしの中で失火してしまうことは、どの家庭でもあり得ることです。その際に消火器があるのとないのとでは、初期消火の状況が大きく違ってきます。消火器の使用期限は10年となっていますが、「期限切れとなった消火器はどうすればいいのか分からない」という問題があります。しかし最近は引き取りサービスも増えてきており、ホームセンターのカインズでは対象の商品であれば無料で引き取りをしてくれます。
「備えあれば憂いなし」といわれていますが、実は多くのご家庭で十分には備えられていない状況です。自分の命、家族の命を守るためにも、災害時に無用な心配をしないでも済むように、できるところから備えていきましょう。