三菱鉛筆「uni タブレット授業えんぴつ」4本パック各308円(税込、以下同)。左からブルー、ラベンダー、キャメル。硬度は2B。1ダースパック(924円)もある
小中学生への高級シャープペンシルのヒットと鉛筆の進化
それどころか、今や、3000円、5000円といった高級シャープペンシルが小中学生を中心に大ヒットしています。それくらい、小学生にとってシャープペンシルは身近な筆記具であり、学校で使えるかどうかは、当人たちには、比較的どうでも良いことかも知れません。それこそ、2017年にぺんてるが「orenznero(オレンズネロ)」を発売したとき、ぺんてる自身も、まさか1本3000円のシャープペンシルが小中学生相手にヒットするとは考えてもいなかったわけで、その後の三菱鉛筆の「KURUTOGA DIVE(クルトガ ダイブ)」にしても、マニアックな商品として発売されたものの、未だに入手困難になるほどの人気になっています。
塾や家庭での学習においては、とにかく膨大な量の問題を解いたり、漢字や文章を書いたりということが中心になるので、いちいち鉛筆を削らずに、細い文字が確実に書けるシャープペンシルは、手放せないのです。最近高級シャープペンシルの基本機能になってきた「自動芯繰り出し機構」も、学習にはとても役立つ機能ですから、小学生が高級シャープペンシルに走るのも十分うなずけます。
その一方で、小学校での「筆記」ということを考えた場合、「濃く、ハッキリ」した文字を書くということが求められるシーンが多いという事情があります。
「そもそも、親が子どもによく言ってしまうワードのひとつに、『ノートをもっとちゃんと書いたら』とか『もっと濃くハッキリ書きなさい』というのがあるようなのです。私も、親として子どもに、『力を入れて、ちゃんととめ、はね、はらいを書いたら、しっかりした文字になるよ』と言った経験があります。今の親御さんの世代は、ノートにしっかり濃く文字を書くことが良いことだという考えが経験的にあるんだと思います」と、三菱鉛筆株式会社商品開発部の中村圭佑さんは言います。
>次ページ:中村さんが担当した「uni タブレット授業えんぴつ」の開発背景