Q. 現在50代後半です。長期投資をどのように考えるべきでしょうか?
「世帯年収は1200万円強、金融資産は6700万円(現預金3500万円、リスク資産3200万円)です。今後まとまったお金がかかることは医療費、車の買い替えぐらいだと考えています。せっかく新NISAで長期投資をしても、亡くなった時が一番お金持ちというのも残念です。特定口座で、インカムとキャピタルを狙っていった方がよいのか悩みます。中高年夫婦(夫55歳/妻57歳)の長期投資の考え方を教えてください」(earthさん/57歳/女性)50代後半からでも新NISAで長期投資を検討するべき?
A. 「運用しながらも、資産を活用して生活を豊かにすることも考えてみて」(深野さん)
新NISAでは、成長投資枠で個別株が買えて、年間240万円まで運用できます。ご相談者の場合、夫婦2人で新NISAで運用すれば、特定口座を使わなくても、年間480万円まで投資することができます。また、新NISAの生涯非課税限度額は1人1800万円(うち成長投資枠は1200万円/人)ですので、2人合わせて3600万円まで投資すことができます。ですから、現在保有されているリスク資産3200万円を、すベて新NISAに振り替えることもできるわけです。
一方で、「亡くなった時が一番お金持ちなのが残念」というのであれば、少しずつお金を使っていくことも考えてみてください。例えば、年間100万円を夫婦の楽しみのために使ったとします。現在57歳ですから、年金がもらえる65歳までは8年間あります。そうすると、資産から取り崩す金額は800万円です。
資産は5900万円に減ります。しかし、今後も夫が働いているのであれば、おそらく世帯年収は少し増えるか、同額くらいをもらえるでしょう。そうすると、少なくとも65歳で5000万円以上の金融資産を持って、老後を迎えられますよね。退職金を含めれば、それ以上の資産額になるかもしれません。
少し極端かもしれませんが、仮に65歳の時点で資産が5000万円ぐらいだったとしましょう。100歳まで生きたとして、年間100万円を資産から取り崩しても(100万円×35年=3500万円)、資産は1500万円残ります。
確かに、長期投資でお金を増やすことも重要です。一方で、その増やしたお金を活用して、豊かな生活をしていくことも大切だと思います。ですので、今ある資産を運用しながら活用することも、ぜひ考えてみてください。
教えてくれたのは……深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など