今回は、同じ調査をもとに、セックスレスはどの程度浮気や離婚検討のリスクになるのかを分析していきます。
まず、セックスレス経験が浮気や離婚検討の有無にどのように影響しているかを見るために、調査対象者全体を「セックスレス経験別」に4つのグループに分けています。
それぞれの人数は以下の通りです。
▼現在セックスレスで過去にセックスレスを解消したことがある
男性:166名 女性:164名 合計:330名
▼現在セックスレスで過去にセックスレスを解消したことがない
男性:352名 女性:437名 合計:789名
▼現在セックスレスではなく過去にセックスレスを解消したことがある
男性:237名 女性:162名 合計:399名
▼現在セックスレスではなく過去にセックスレスの経験もない
男性:745名 女性:737名 合計:1482名
「過去にセックスレスを解消した経験のある人」は浮気する割合が高い?
まずはセックスレスと浮気経験についての関係を見ていきましょう。今回の調査では、パートナー以外とセックスすることを「浮気」と定義しています。■セックスレス経験別のセックスレスによる浮気リスク
現在パートナーと同居中の20~49歳の男女3,000人の内、パートナーと同居して以降、パートナー以外とセックスをしたことがあると回答した人の割合は760人。全体の25.3%でした。男女別に見ると、男性33.4%、女性17.3%と、男性の方が浮気経験率が高くなっています。
年代別で見てみると、男性は年を重ねるごとに浮気経験率が増え、女性は年齢を重ねるごとに浮気経験率は低くなることがわかります。 続いて、浮気経験があると回答した男女760人のうち、セックスレスの経験がない、つまりセックスレス経験別で「過去にセックスレスの経験もなく現在もセックスレスではない」と答えた254名を除く男女506人に、「パートナー以外とセックスしたのはセックスレスが原因だと思いますか?」と聞いてみました。その結果は、以下の通りです。 それぞれのグループ全体の人数から、実際に浮気をした人のうち「浮気の原因はセックスレス」と回答した人数を元に割合を算出すると、「現在セックスレスではなく過去にセックスレスを解消した経験がある人」は3.1人に1人、「現在セックスレスで過去にセックスレスを解消した経験がある人」は3.7人に1人、「現在セックスレスで過去にセックスレスを解消した経験もない人」は7.5人に1人が、セックスレスが原因で浮気するリスクがあると考えていることがわかります。
この結果を見ると、どうやらセックスレスを解消した経験がある人の方が、セックスレスが原因となる浮気リスクが高まると言えそうです。
なお、「過去にセックスレスの経験もなく現在もセックスレスではない人」の場合は1,482人中254人(5.8人に1人)が浮気を経験していることから、当然セックスレスではなくても浮気されるリスクがあることも申し添えておきます。
■性別・年代別のセックスレスによる浮気リスク
続いて、セックスレス経験があり、浮気をしたことがある人について、性別・年代別で、「浮気の原因がセックスレスだと思う」と回答した割合を見てみると、以下のようになりました。
浮気の原因がセックスレスと回答した人の割合は、男女とも年を重ねるごとに減少しており、この結果から、若い世代ほどセックスレスが原因の浮気が発生するリスクがあることが推測されます。
それでは、セックスレス経験があり、浮気の原因がセックスレスにあると答えた人数を、浮気をしていない人も含めたセックスレス経験者の各性別・年代ごとの総数にあてはめると、性別及び年代別でセックスレスを理由にした浮気が発生するリスクは以下のようになると考えられます。
ここで特筆すべきは20代・30代男性のセックスレスによる浮気リスクの高さです。セックスレス経験者のうち20代男性は2.3人に1人、30代男性は3.3人に1人が「浮気の原因はセックスレスだと思う」と回答しているのです。
- 20代男性:2.3人に1人(44.3%)
- 30代男性:3.3人に1人(30.0%)
- 40代男性:4.4人に1人(22.7%)
- 20代女性:4.7人に1人(21.2%)
- 30代女性:7.2人に1人(13.8%)
- 40代女性:18人に1人(5.5%)
「過去にセックスレスを解消した経験のある人」は離婚を検討する割合が高い?
次に、セックスレスと離婚について見ていきましょう。ここでは、同居しているパートナーと離婚(事実婚の場合は解消)を考えたことがある場合を、離婚検討経験として定義しています。■セックスレス経験別のセックスレスによる離婚検討リスク
まず、調査対象者全体について、性別・年代別での離婚検討経験を聞いたところ、男性よりも女性の方が離婚を検討をする割合が高く、男女共に年齢を重ねるごとに離婚検討経験率は高くなっていくことがわかりました。 では、セックスレスと離婚検討経験の関係はどうなっているのでしょうか。離婚検討経験があると回答した男女790人のうち、「過去にセックスレスの経験もなく現在もセックスレスではない」と答えた198人を除く男女592人に、「離婚を検討した原因はセックスレスが原因だと思いますか?」と聞いてみました。その結果は、以下の通りです。
それぞれのグループ全体の人数から、実際に離婚を検討したことがあり「離婚検討の原因はセックスレス」と回答した人数を元に割合を算出すると、「現在セックスレスで過去にセックスレスを解消した経験がある人」は4.2人に1人、「現在セックスレスではなく過去にセックスレスを解消した経験がある人」は4.5人に1人、「現在セックスレスで過去にセックスレスを解消した経験もない人」は10.5人に1人が、セックスレスが原因で離婚を検討していることがわかります。
現在セックスレスであるか否かに関わらず「過去にセックスレスを解消した経験のある人」は、離婚を検討する割合が高いようです。
なお、「過去にセックスレスの経験もなく現在もセックスレスではない人」の場合も、7.5人に1人(1,482人中198人、13.4%)は離婚を検討したことがあり、セックスレスとは無関係に離婚を検討することも当然考えられます。
■性別・年代別のセックスレスによる離婚検討リスク
続いて、性別・年代別にセックスレスが原因で離婚を検討した人の割合を見てみましょう。セックスレス経験があり離婚検討をしたことがある人について、「離婚検討の原因がセックスレスだと思う」と回答した割合を見てみると、以下のようになりました。
「離婚検討の理由がセックスレスと回答した人」の割合は男女ともに年代が上がるほど減少していくことがわかります。この人数を離婚検討をしていない人も含めたセックスレス経験者の各性別・年代ごとの総数にあてはめると、以下のようになります。
浮気についての調査結果と同様に離婚検討リスクについても、特に20代・30代の男性が「セックスレスが原因」と考える割合が高いことがわかります。
- 20代男性:3.4人に1人(29.4%)
- 30代男性:3.9人に1人(25.9%)
- 40代男性:8.1人に1人(12.4%)
- 20代女性:6.3人に1人(15.8%)
- 30代女性:8.9人に1人(11.2%)
- 40代女性:14.3人に1人(7.0%)
20代・30代の男性のセックスレスは浮気・離婚検討リスクを高める?
今回の調査により、20代・30代の男性はセックスレスが浮気や離婚検討の原因になると考える割合が高いことがわかってきました。前回の記事でご紹介した「セックスレスになった理由」を振り返ると、20代・30代の男女共に上位に「育児と家事が忙しくなったから」が挙げられていました。20代・30代で起こる生活環境の変化がセックスレスにつながっていることが考えられますが、そういったタイミングで、パートナーとセックスレスについて話し合ったり、意思疎通を大切にすることが、セックスレスが原因となる浮気・離婚検討のリスク回避につながる可能性があるのかもしれません。
また、「男性の”現役”は何歳まで?ED・セックスレスの調査結果と生涯現役のコツ」の記事では、妊活中のセックスに関する実態調査の結果、平均して3人に1人が子づくりが原因でEDになった経験があり、特に20~24歳ではその年代の過半数を超える56.7%が子づくりEDを経験していることがわかりました。もしセックスレスの原因のひとつがEDであると自覚している方がいらっしゃれば、ED治療を試してみることによって改善される可能性があります。あまり深刻に悩まず、一度専門のクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。
なぜセックスレスを解消したことがある人は、セックスレスが原因で浮気・離婚リスクが高まるのか
最後にもう一点、「セックスレス経験別での浮気経験割合」と「セックスレス経験別での離婚検討経験割合」のいずれの場合も、現在セックスレスかどうかに関係なく、「セックスレスを解消した経験」がある人の場合に、セックスレスが原因で浮気をしたり、離婚を検討したりするリスクが高いことがわかりました。前回の記事でご紹介したセックスレスに関する意識調査をセックスレス経験別に分けてみると、この結果を読み解くヒントが見えてきます。
セックスレス解消経験のある人は解消経験のない人に比べて「セックスが好き」「セックスは重要」と思っている割合が高く、「セックスレスを解消したい」「セックスの頻度を増やしたい」といった欲求がセックスレス解消につながっています。しかし反対にセックスレス状態になってしまえば、そのストレスが浮気や離婚検討にもつながってしまうのです。
もちろん「現在セックスレスで過去にセックスレスを解消した経験がない人」の中にも同じようにパートナーとのセックスがとても重要であると考えている人もいらっしゃることでしょう。パートナーとのセックスが重要と考え、セックスに対しての意識が高ければ高い人ほど、セックスレスになることで浮気や離婚を検討されてしまうリスクが高くなるということは間違いありません。
セックスレスを解消するためには「セックスレスについてパートナーと話し合う」「パートナーの良き理解者になるよう努める」といった行動が必要不可欠であることを前回の記事でもご紹介しました。浮気や離婚検討のリスクを回避するためにも、パートナーのことを思いやり、意思疎通を図ることが重要と言えそうです。
また、繰り返しになりますが、セックスレスになった原因のひとつがEDであれば、適切な対策を行うためにもご自身だけで悩まず、専門の医療機関に相談することをおすすめします。
【関連記事】■調査概要
・集計期間:2023年6月19日~23日
・調査方法:インターネット集計
・調査対象:既婚もしくは事実婚で現在、異性のパートナーと同居中の20~49歳の男女3,000名
※20~49歳(10歳階級別) 男女 3,000人の内訳は以下の通り
「20~29歳 男性:500人」「20~29歳 女性:500人」
「30~39歳 男性:500人」「30~39歳 女性:500人」
「40~49歳 男性:500人」「40~49歳 女性:500人」
・セックスレスに関する意識と実態を調査!セックスレスになった理由から解消のきっかけまで
・若い世代にとっても身近なED、20代~30代がEDになる原因と解決のきっかけとは?
※参考:
・セックスレスはどの程度、浮気や離婚のリスクとなるのか
https://www.hama1-cl.jp/internet_research/sexless_survey_2023/sexless_cheating_divorce.html
・セックスレスになった原因と解消方法を調査(浜松町第一クリニック)
https://www.hama1-cl.jp/internet_research/sexless_survey_2023/eliminate_sexlessness.html
・セックスレスに関する意識と実態調査2023
https://www.hama1-cl.jp/internet_research/sexless_survey_2023/