そもそもインデックス投資とは?
本題へ移る前に。そもそも「インデックス投資って何?」と思う人もいるでしょう。まずは、ここから説明します。インデックス投資というのは、インデックス(=指数)に連動する投資信託(ファンド)に投資する手法です。たとえば、日本株の主要指数である「TOPIX(東証株価指数)」や「日経平均株価」に連動する投資信託(インデックスファンド)を買います。つまりインデックス投資では、「平均点を取ること」を目指します。
一方でアクティブ投資があります。アクティブ投資とは上がりそうな株を目利きして「平均以上に儲けること」を目指すことです。また、アクティブ投資によってプロに運用されている投資信託のことを「アクティブファンド(もしくはアクティブ投信)」と言います。
インデックス投資をして平均点を目指す!なんて話をすると、「志が低い!」とか「つまらなそう!」とか感じます。しかし、案外、この投資法は優秀です。
過去のデータを調べてみると、過半数のアクティブファンド(プロが銘柄を選んで高いリターンを目指すファンド)よりも、インデックス投資のほうが好成績なのです(1)。
インデックス投資がうまくいく前提は2つ。1つは、インデックスの質が高いこと。もう1つは、運用手数料が安いことです。
中原もiDeCo(個人向け確定拠出年金)で貯めたお金は、インデックス投資で運用しています。手軽に投資できるし、そこそこのリターンが期待できるので、愛用しています。
空前のインデックス投資ブーム、何が危ない?
しかし、最近は「インデックス投資さえやっていれば、誰でも時間をかけず小金持ちになれる」みたいな、やや扇動的な発信をする人も増えている気がします。特に危険だと感じるのは「価格」を度外視する風潮です。
そもそもの話として、どうしてインデックス投資が「うまくいくのか?」というと、前述のとおり運用手数料が安いからです。プロが投資先を目利きし、厳選するファンド(=アクティブファンド)にお金を預けると運用手数料が毎年何%かかかりますが、インデックス投資ならコンマ数パーセントで済むのです。
しかし、いくら運用手数料が安くても、インデックスそのものが割高だと、せっかくのコスト優位が台無しです。インデックス投資はバブルにとても弱いのです。
本来、インデックス投資は「低コスト」かつ「幅広く分散」されているので、失敗しにくいです。しかし、失敗しにくいはずのインデックス投資で「いま人気で割高な指数に一点集中で投資する」みたいに、みずから長所を消すような投資を選ぶ方も見かけます。こういう方を見ると「高確率で痛い目を見そうだけれど、大丈夫かなー?」と心配になります。
最近では「オルカン」などの全世界に分散する株式型投資信託が特に人気ですが、逆に債券型投資信託は下火という印象があります。足元の利上げで債券金利も上がっているので、株式よりも債券のほうがうまみが増しているはずなのですが……。
利回りが低いものを売り、利回りが高いものを買う
「お金儲けには初期投資が必要」という前提に立つ場合、理論上、インデックス投資の利回りは、株式の場合は益回り、債券の場合は債券金利が上限です。よって、インデックス投資では益回りが高い株式指数と、高い金利を受け取れる債券を組み合わせたいところです。
「全世界に分散投資する」ことが前提なら、中原だったら全世界株式に連動する「オルカン」の益回りと、全世界債券の債券利回りを比べて、有利なほうに多めに配分します。
仮に株式益回りが債券金利よりも低い場合は株式バブルと考えられます。この場合は、株式の資産配分を圧縮して、債券への資産配分を多めに取るべきじゃないでしょうか。
参考資料
(1)調査:SPIVA U.S. Scorecard(2022)