世の中の夫婦が不機嫌な理由はコレでは?
ふたりの信頼関係は強固なほうがいいに決まっているが、「相手を自分のもののように感じたり、家族なんだからと何かを強要するようなことはしたくない。関係性そのものは緩やかでいたい」というのがサヤカさんの思いだ。「世の中、不機嫌な夫婦関係が多いなと思うんです。女友だちは夫の悪口ばかり言っているし、男友だちは妻の愚痴だらけ。私はショウイチに不満があれば本人に言います。夫なのにこうしてくれないということではなく、ショウイチ個人にこうしてほしいとぶつけます。
夫とか父親とか、立場としてこうあるべきと決めるから基準値以下だと思うと不満が生まれる。でもショウイチ個人とともに歩いているだけだから、夫とか父親とかあまり関係ないんですよね。わかりづらいかもしれませんが……」
つまり、あくまでも個人と個人の関係でしか考えないということなのだろう。それは子どもが生まれてからも同じだ。ふたりのチームが3人になっただけ。
「彼も私もひとり暮らしが長かったから、一通りの家事はできる。今は気づいたほうがやっていて、取り決めもしていません。娘ができて唯一変わったのは、娘の健康面を考えて食事はほぼ家でするようになったこと。以前はふたりとも忙しくて外食が多かったけど、そこだけは変わりました。コロナ禍でふたりとも在宅ワークが増えた時期があったから、それも3人体制になった私たちにとってはよかったような気がします」
廃止されても根強い「家制度」の名残
今後も、いわゆる「結婚」はするつもりがないとサヤカさんは言う。だが事実婚の手続きをしないと、一例として、どちらかが入院・手術となったときにめんどうなことが起こりそうだ。だからこそ、彼女は異性にもパートナーシップ制度を導入してほしいと考えている。「世間が婚姻届をもって正式な夫婦としていることはわかっていますが、せめて行政のサービスや医療、住居、保険に関することはパートナーであることも認めてほしい。同性同士にそういう制度があるのに異性にはないというのが逆に不公平なのではないかと。あらゆる人に機会均等であってほしいですよね」
今後のことを考えると、事実婚に関する公正証書を作成したほうがいいのはわかっているとサヤカさんは言う。
「愛情をもとに一緒に人生を歩んでいきたい。それを証明するものがないと世間は許してくれない。ただ、社会のルールとしてはわかるので、もう少しゆるめのパートナーシップ制度ができればいいのになと思うんです」
個人と個人の関係、社会とカップルの関係。それをすべて納得できるようにするのはむずかしい。ただ、「家制度」の名残が見える現在の婚姻制度をすべての人がいいと思っているわけではない。そろそろ婚姻制度自体を変えていく時期にきているのではないだろうか。