食生活・栄養知識

Q. 「サジー」とはどんな果物ですか? 栄養素や効果が知りたいです

【管理栄養士が解説】「サジー」とは世界中のさまざまな地域に自生しているグミ科の植物です。日本ではあまりなじみがない果物ですが、海外では古くからビタミンの供給源や薬用に用いられてきました。栄養素と効果について解説します。

平井 千里

執筆者:平井 千里

管理栄養士 / 実践栄養ガイド

Q. 「サジー」とはどんな果物ですか? 栄養や効果が知りたいです

サジーとは

世界中のさまざまな地域に自生しているグミ科の植物・サジー


Q. 「最近、サジーという果物が話題のようですが、スーパーの果物コーナーなどでも見たことがありません。健康効果や美容効果が高いのでしょうか? 栄養素や効果についておしえてください」
 

A. 日本ではなじみがありませんが、ビタミンや鉄分豊富なグミ科の植物です

「サジー」とは、世界中のさまざまな場所に自生しているグミ科の植物のことです。中国では「沙棘」と表記され、英語圏では「シーバックソーン(Sea-buckthorn)」「シーベリー(Seaberry)」とも呼ばれます。塩害・寒さ・乾燥に強く、植物が育ちにくい海岸や砂漠、また、ヒマラヤの標高の高い地域でも自生しています。オレンジ~赤色の実の部分を食べます。古くから冬場のビタミン類の供給源として、薬用でも用いられてきた歴史があるようです。最近は、日本国内でもサジーを利用した製品が売られているようです。

気になるサジーの栄養についてですが、日本ではまだ一般的な食品ではないため、文部科学省が出している『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』には記載されていません。

発表されている複数の論文から平均してみると、いずれも可食部100gあたりで

  • エネルギー……約50kcal
  • たんぱく質……約0.8g
  • 脂質……約1.8g
  • 鉄……約6mg
  • 亜鉛……約0.4mg
  • ビタミンA……約84μg
  • ビタミンC……約220mg

とされています。特にビタミンCや鉄分は、他の果実と比較しても豊富な果物と言えるでしょう。一例として、イチゴの場合は100gあたりのビタミンCが62㎎、鉄分が0.3mgです。

サジーの効果としては、貧血改善のほか、空腹感の減少や肌の保湿効果などがあるようです。具体的には、中高年女性を対象とした研究では、空腹感の減少・肌の保湿に効果があったと報告されています。長距離走の女子高生アスリートを対象とした研究では、1日30mL、1か月間サジーを用いたジュースを飲用したことで、貧血症状の改善などに効果が見られたという論文もあります。

サジーを使った製品にはさまざまなものがあり、製品によって含まれる栄養素の量も異なるため、飲む量の目安も参考程度に考える必要があります。どんな食品でも摂り過ぎは健康によくありませんが、うまく利用すれば健康によい効果も期待できそうです。妊娠中や授乳中、持病がある方などは、製品ごとの注意事項も確認の上で、上手に取り入れてみるのがよいでしょう。

■参考文献

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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