年金・老後のお金クリニック

1963年2月生まれ61歳の男性。現在16万~17万円の月給がありますが、不安で62歳から年金を繰り上げ受給しようかと考えています

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、年金の繰り上げ受給の注意点を説明します。年金についての質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。

執筆者:All About 編集部

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老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、年金の繰り上げ受給の注意点を説明します。年金についての質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。

Q:現在16万~17万円の月給がありますが、不安で62歳から年金を繰り上げ受給しようかと考えています。繰り上げ受給の注意点はありますか?

「1963年2月生まれ61歳の男性。現在16万~17万円の月給がありますが、不安で62歳から年金を繰り上げ受給しようかと考えています。どのようなことに注意したらよいか教えてください」(Hさん)
年金の繰り上げ受給の注意点とは

年金の繰り上げ受給の注意点とは

A:一度繰り上げ受給をすると、繰り上げ請求した時点の減額率で、一生涯減額された年金を受け取ることになります。また、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に繰り上げ受給する必要があり、その他さまざまなデメリットがあるので注意が必要です

1963年(昭和38年)2月生まれ、男性の相談者の老齢年金は、原則65歳から支給されることになります。もし65歳より前に年金を受給したい場合は、60歳以降であれば「繰り上げ受給の請求」をすることで、年金を受け取ることができます。

繰り上げ受給の手続きをすると、繰り上げする期間に応じてひと月あたりの年金受給額が0.4%減額されます(昭和37年4月1日以前生まれの方の減額率は0.5%)。この減額率は一生変わりません。繰り上げ請求した時点の減額率で計算された年金を、一生受け取ることになります。

・減額率の計算式は以下の通りです
減額率(最大24%)=0.4%×繰上げ請求月から65歳に達する日(誕生日の前日)の前月までの月数

繰り上げ請求すると、年金を早く受け取れますが、長生きすればするほど、受け取れる年金受給額の合計が少なくなります。

さらに繰り上げ受給は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を、同時に繰り上げする必要がありますので、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方とも減額されてしまいます。

また、一度繰り上げ受給をすると、取り消しはできません。その他、未納期間がある人が対象にはなりますが、国民年金の任意加入や、保険料の追納もできなくなります。繰り上げ受給をした日以後は、事後重症(障害認定日には基準に該当しない障害状態の場合、その後障害の状態が重くなること)などによる障害基礎(厚生)年金を請求することができません。

相談者は、月額16万~17万円の給与収入でご不安があり、給与をもらいながら、年金を早いうちから受給することをご検討とのことです。給与をもらいながら年金を受け取ることはできますが、注意点があります。

厚生年金に加入して給与収入を得ている場合は、基本月額(老齢厚生年金の報酬比例部分の月額)とおおよその給与収入(総報酬月額相当額)の合計が支給停止基準額50万円(令和6年度)を超えると、老齢厚生年金受給額の一部、もしくは全額が支給停止されます。

相談者の月収を17万円と仮定すると、基本月額(老齢厚生年金の報酬比例部分の月額)が33万円を超えなければ支給停止されません。老齢基礎年金は在職老齢年金制度の対象ではないので支給停止にはなりません。今後給与が上がる等のときには覚えておきましょう。

平均寿命が長くなり、長生きされる人が多くなりました。年金は生涯にわたって受け取れる大切な収入源です。一度繰り上げ請求すると、取り消しはできません。繰り上げ受給のデメリットをよく把握して手続きするようにしましょう。

※年金プチ相談コーナーに取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
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