家計簿・家計管理

Q. 浪費家の妻を説得し、節約に協力させるには?

マネーに関する読者の疑問にファイナンシャルプランナーがお答えします。今回は、お金に対する価値観が夫婦で異なることに悩む52歳男性からの質問です。

二宮 清子

執筆者:二宮 清子

家計簿・家計管理ガイド

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浪費家の妻

浪費家の妻を説得し、節約に協力させるには?

マネーに関する読者の疑問にファイナンシャルプランナーがお答えします。今回は、お金に対する価値観が夫婦で異なることに悩む52歳男性からの質問です。

Q. 浪費家の妻を説得し、節約に協力させるには?

「夫婦共働きで13歳の子を持つ会社員男性(52歳)です。私が家計管理をしているのですが、妻はお金への関心が薄く、なかなか協力を得られません。食費(10万円/月)や妻の被服費(5万円/月)など、ほんの少しだけでも抑えてもらいたいのですが、なかなか変わりません。私がコストパフォーマンスの高い料理をたまに作ると、『今までに味わったことのないものを食べたい……』とこぼすなど、楽しみやお金に対する価値観が私と違うんですよね。妻の価値観も尊重しつつ、家計にも協力してもらえるような手法はないでしょうか?」
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A. 「妻自身が変わろうとしない限り変わらない」ことを前提に、歩み寄る姿勢で

私はファイナンシャルプランナーとして家計相談によく応じていますが、浪費癖のあるパートナーに悩んでいる方は少なくありません。いろいろと策を練り対処するものの、本質的に相手を変えることは不可能だと感じています。

「大変」とは「大きく変わる」と書くように、人は生命の危機にさらされるなどの「大変」な出来事が起こり、自分自身で「変わりたい!変わらなければ!」と思わなければ、大きく変わることができないのかもしれません。浪費をしていても特に困ることなく普通の生活ができている場合、人はなかなか変わることができないものです。

奥様はこれまでお金のことで苦労した経験がないのではないでしょうか。家計状況を見る限り、今後ものすごく困窮する状況ではありません。浪費が加速すれば心配ですが、なんとかやっていけるでしょう。ぬるま湯状態なので、奥様自身が変わりたいと思うことは難しいでしょう。

それでも現状を打破したいならば、「スタンダードな方法」と「一風変わった方法」があります。お互いの性格を加味しつつ、二つの方法を試して節約できる環境を整えていきましょう。

スタンダードな方法

まずはスタンダードな方法から紹介します。

(1)コミュニケーションを取る
オープンかつ穏やかなコミュニケーションを心がけましょう。感情を共有し、相手の立場や考えを理解することが大切です。奥様になぜ節約が必要かを理解してもらい、協力してもらうための理由を説明しましょう。女性は感情で動くことが多いので、「君と子供の未来を素晴らしいものにしたいから、一緒に考えてほしい」と優しく温かい言葉で伝えましょう。

(2)共通のワクワクするような目標を設定
節約を我慢大会にしないためにも、ワクワクするような目標を設定することも大切です。例えば、「100万円貯蓄できたらハワイ旅行に行こう」と目の前に人参をぶら下げることは、行動を後押しするには良い手法です。小さな目標や短期間の目標から始めて、少しずつお金の成功体験を作っていくと自信にもつながります。これにより、節約がただの制限ではなく、将来のより良い状況への一歩となるでしょう。

(3)共同で計画を立てる
節約の計画を共に立てることで、奥様が積極的に参加する意欲が高まります。具体的で達成可能な節約の方法や優先順位を一緒に考えてみましょう。

(4)ファイナンシャルプランナーに夫婦で相談する
例えば、マイホーム取得や子供の教育費、老後資金などを理由に、一度、専門家であるファイナンシャルプランナー(FP)に夫婦で相談する機会を設けてみてはいかがでしょうか。FPのアドバイスには必ず家計管理が含まれるので、家計管理の重要性を奥様が知る良い機会になるかもしれません。FPの作成するキャッシュフロー表によって現状と未来の家計状況を数字で確認できるので、客観的に受け止めることもできます。また専門家に相談することでお互いの悩みや本音を言いやすい環境も作ることができます。お金の話は感情的になりやすいので、専門家である他人にアドバイスを求める方が、夫婦だけで話し合うより冷静に判断できることがあります。

(5)感謝を伝える
節約に成功したときには、「家族のためにありがとう!」と奥様に感謝を伝えましょう。節約が生活に良い影響を与えていることを明確に伝えることで、奥様がモチベーションを維持しやすくなります。反対に、うまくいかないときはネガティブな発言をせずに、温かい目で見守りましょう。これまでの生活を変化させることは難しいだけに、できるだけ柔軟に歩み寄るようにします。節約の方法を提案するときには、生活の質が低下するのではなく、より賢明な選択をすることで節約できるという視点を重視しましょう。

一風変わった方法

上記の「スタンダードな方法」ではびくともしなかった場合、思い切って「一風変わった方法」を試してみるのも手です。

(1)ご自身が家計管理や節約を楽しむ
ご自身がポジティブに家計管理をして貯蓄や節約、投資を楽しみ、お得さを満喫していれば、奥様自身も「そんなに楽しくてお得なら私もやってみようかな……」と思う可能性があります。しかし、夫が嫌々家計管理をしていたなら、奥様もやりたがらないというものです。

(2)子供に金銭教育をする
子供が将来経済的に自立するためには、子供時代から金銭教育を行い金融リテラシーを身につけさせることが重要です。子供に金銭教育を行う過程で、母親である奥様も「子供の見本にならなければ」と考え始める可能性はあります。子供を巻き込むことで、奥様が母親としての役割を意識し、自然と家計管理に協力してくれるようになるかもしれません。

(3)最悪を想定して妻に内緒の貯蓄を持つ
どんなに歩み寄っても浪費が治らない事態を想定して、妻に内緒の貯蓄を持つことも家族を守るためには大切です。そのためにも家計にゆとりを持たせず、収入が入ったらすぐに一定額を貯蓄口座に移す「先取貯蓄」を積極的に行いましょう。

◆  ◆  ◆

夫婦といえども育った環境が違い、金銭感覚も異なります。しかし、家族として互いに協力し合い家計と向き合うことができれば、信頼関係は強くなり幸福度も高まります。「お金」を喧嘩の原因にするのではなく、「お金」を節約することでどんな幸せな暮らしが実現できるのかを、ワクワクしながら話しあえるようなパートナーシップを築いていただけたらと思います。

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