Q. 保有している投資信託を利益確定し、新NISAに入れ直そうか悩んでいます
「50代後半から新NISAを利用する場合、投資枠を使いきれないともったいないなと思います。そこで手持ちの投資信託(※)をいったん利益確定して、新NISAに入れ直すことを検討中です。でも、これは意味ある操作なのか考えています」(57歳/会社員/男性)【保有資産】現預金:1900万円、リスク資産:1億円
※特定口座で運用しているもの
保有している投資信託を利益確定して新NISAで運用するべき?
A. 「利益確定する善しあしを踏まえ、資産の移行は慌てずに」(深野さん)
新NISAは一生涯使える制度ですし、ご相談者の場合、50代後半からの利用でも生涯投資枠1800万円を使いきれないことは多分ないと思います。特定口座で運用されている投資信託をいったん利益確定し、新NISAに入り直す場合、基本的には確定した利益に対して約20%課税され、まだゼロからスタートになります。しかし、新NISAでは、運用益に対して税金がかりません。ですので、今後も投資信託が値上がりしていくことを考えると、新NISAに入れ直した方がお得ともいえるでしょう。
一方で、今ある投資信託を利益確定し、入れ直しをしている間に、保有していた投資信託の市場価格が上がることもあるかもしれません。また、せっかくの複利効果を中断してしまうといったデメリットもあります。
新NISAで投資できる年間上限額は、360万円(つみたて投資枠で最大120万円/年、成長投資枠で最大240万円/年)になります。ですので、慌てて全て利益確定する必要はないと思います。ただ、ご相談者の場合、年齢から考えるとややリスク資産が多いようにも思います。
どのような金融商品を保有されているかにもよるのですが、60歳以降は再雇用で働いたとしても、収入が減ることが予想されます。そのため、資産全体でリスク過多にならないよう注意してください。
教えてくれたのは……深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など