豆の選定から淹れ方までコントロールできることの可能性
さらに、3つ目「Casual Black」というレシピもあります。各レシピはそれぞれ、今回の開発に携わった3人のプロフェッショナルが考えました。現状、このように、1つのカプセルに3種類のレシピが用意されているのは、この「ホンジュラス&コロンビア」だけですが、これによって、ユーザーはレシピ開発者の個性も知ることができます。 「私も、同じ豆で淹れ方を変えて飲み比べるという体験は、それほど経験してきたわけではないので、このレシピを開発するにあたっていろいろな淹れ方を試して、こんなに味が違うものができるとは正直驚いたところでありました。同時に、可能性を感じたところでしたので、本当に1つのカプセルでいくつものレシピができるんじゃないかな、というふうには感じています」と進さん。それが、自分のような専門家でなくても分かるくらいの味の差となることが開発していて一番面白かったところなのだそうです。これは実際に、毎日のようにいろんなカプセルを試して感じたことですが、レシピはそれ用のカプセルだけでなく、他のカプセルと組み合わせてもおいしいコーヒーを見つけられます。例えば、「マンデリン&ブラジル」のカプセル用に作られた「Chocolate Brownie」は、その名の通り、フルーツ入りのチョコレートブラウニーを思わせる風味が楽しめるレシピなのですが、このレシピ、結構オールマイティーで、「マンデリン&ブラジル」とは全然方向が違う「ハワイコナブレンド」や「ブルーマウンテンブレンド」でも、それぞれに違った風味ながら、どこかチョコケーキ風の味わいになりました。
味だけでなく、コーヒーを楽しむ時間でも選べるインターフェイス
つまり、レシピはカプセル単位で作られているけれど、シーンやシチュエーションで選べるようになっているということなのでしょう。「味だけじゃなくて時間軸みたいなところもコーヒーを飲むシーンとしては大事な要素かなと思ったんです。それで、朝昼夜とか、リラックスタイムとかおやつのときとか、そういった時間に楽しむ味としてどういうものがいいのかといった視点も入れながら、味作りもそうですし、アプリにもそういう伝え方ができるようなインターフェイスを入れるようにしています」と小牧さん。
しかも、朝はこれ、みたいな直接的なインターフェイスではなく、ネーミングや写真、コメントなどにさりげなく、時間やシチュエーションを感じさせる要素を入れてあるのです。あくまでも提案するという姿勢が、アプリやコンセプト、インターフェイスといった製品全体に行き渡っているから、使っていて楽しいと感じるのでしょう。
「アプリのインターフェイスには特に気を遣いました。理屈ではなく、とにかく感覚で選べるようにしたかったんですね。そのために、写真は極力大きく、テキストはできるだけ少なく、とにかく触りやすくして、あとは飲んでみてもらって、という感じにしました」と小牧さん。
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