UCC「DRIP POD YOUBI」2万4200円(税込)。写真左はストア限定のボタニカルグリーン。中央の3つ、左からラッカーレッド、スチームホワイト、ミッドナイトブラックが定番カラー、一番右はDEAN & DELUCA限定のソイルブラウン。サイズ:幅約12×奥行約21.4×高さ約37.6cm、3.4kg。水タンク容量:700ml
コーヒーの楽しみ方を教えてくれるコーヒーメーカー
「私たちの会社では、こういう味になったらいいな、こういう風に楽しんでもらえたらいいなといったことを考えて、コーヒーのブレンドや焙煎の度合いなどをいろいろ設計して商品化しています。ただ、最後の『コーヒーを淹れる』という部分は、お客様の手に委ねるしかありませんでした。なので、同じコーヒーでも家庭によってさまざまな味わいになります。もちろんそれでいいのですが、『この豆を通じて、こういう味を届けたい』と思って味覚の開発をしていますので、そういった部分を伝えられないかというところから、このプロジェクトが始まったそうです」と、現在、ブランド全体のプロジェクトを担当している、DRIP POD ブランドマネージャーの小牧美沙さん。 つまり、一般的なコーヒーメーカーとは違って、UCCが扱うコーヒー豆の味をストレートに伝えることが目的で始まったマシンとカプセルというわけです。そのため、おいしいコーヒーを手軽に飲めるというコーヒーメーカー本来の機能に加えて、例えば、モカという豆はこういう味なのかとか、ブルーマウンテンの特長はこういう部分なのかといったことを分かりやすく伝えてくれるものでもあるわけです。これは、コーヒー全体を扱うメーカーだからこその発想です。家電メーカーのコーヒーメーカーとは、目的というか存在意義自体が違う製品なのです。アプリとの連携で、コーヒーの個性に合わせたレシピを選べる
ただ、これまでの「DRIP POD」は、ハンドドリップで丁寧に淹れた味わいを簡単に再現することを目的として作られていました。そのため、操作は簡単で、ボタン1つでおいしいコーヒーが飲める上に、UCCが考えるコーヒーの味わいの基準のようなものを知ることができるという意味では、プロジェクトの意義を十分果たす製品です。加えて、抽出のスピードをゆっくりにして全体的に味わいを濃くするストロングモードと、湯量を少なくしたアイスコーヒー用のモードも付いていて、自分で用意したコーヒー豆を挽いた粉でも淹れられるレギュラーコーヒーフィルターも付属します。「ただ、お客様にインタビューしてみると、ストロングモードやアイスモードを使ったことがないという声をたくさん聞いたんです。どういう味になるのか分からないから、いつも標準モードで淹れているということでした」と小牧さん。
確かに、味わいを濃くするとはどういうことかというのは、なかなか分かりにくいし、どういうときに濃くして飲めばいいのかも、教えてもらわないと分からないかもしれません。そこで、淹れ方を隣で教えてくれるバリスタのようなマシンが作れないかというのが、今回の「DRIP POD YOUBI」開発の始まりだったそうです。 そのような経緯で作られたマシンだけあって、「DRIP POD YOUBI」は、その根本から通常のコーヒーメーカーとは一線を画しています。何より違うのは、「最高のコーヒーを淹れる」ということが目指されているわけではないということ。コーヒーの種類や飲みたい時間、気分に合わせた淹れ方をアプリが提案してくれるというスタイルは、使用する豆の種類や粉の分量などまで完全にコントロールされているから可能になる方法なのです。
つまり、最高の淹れ方ではなく「最適な淹れ方」を案内してくれるマシン。それを実現できたのは、お湯の量や温度、抽出時間などをコントロールするハードウェアはすでにあったことと、レシピ開発の責任者として、十分なコーヒーの知識と技術を持ったスタッフやバリスタを社内に擁していたから。
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