定年後を見据えて支出をスリム化!
――収入が低くなる定年後に備えて、定年前から少しずつ家計を見直していくことが必要だとよくいわれますが、何から始めたらいいのでしょうか?松崎さん:まずは今、ひと月にいくら支出があるかを把握することからでしょうか。定年後の支出は、現役時代に比べて大体7割になるといわれています。
そのまま放っておいて、勝手にスリム化はできませんよね(笑)。そこで、定年までに最低限チェックしてほしい3つのお金というのがあります。それが次の3つです。
- 見ていないお金
- 先延ばしのお金
- 楽しくないお金
では1つずつ、どんなお金が該当するのかお話していきますね。
1. 見ていないお金
「見ていないお金」というのは、“自分の財布から支払っていないお金”のことです。例えば、銀行口座からの引き落としやカード払いなどが当てはまります。カード払いの場合、今は利用明細が紙で郵送されてくることが少なくなり、ネットで確認することがほとんどです。利用明細を見るためには、カード会社のホームページにアクセスし、パスワードを入れてチェックしないといけません。そうなると、いちいち利用明細をチェックしないという方も多いのではないでしょうか。
しかし、この見ていないお金の中に自分でも忘れてしまっている支払いや、全然使ってないサービスの引き落としがあったりするのです。しばらく利用明細を見ていない方は、一度確認してみてください。もし使ってないようなサービスや、不要な支払いがあったら、解約手続きをするようにしましょう。
2. 先延ばしのお金
次に「先延ばしのお金」というのは、「やめよう、やめよう」と思いながらも、手続きが面倒で解約せずに、そのまま払い続けているお金になります。例えば、動画や音楽などの定額配信サービス料や有料アプリ、クレジットカードの年会費などですね。
「先延ばしのお金」の見直しには、“期限を決める”ことが非常に有効です。自分だけでやろうとすると先延ばしになってしまうのであれば、「家族でこの日までにやろう!」と決めて実行するのでもいいと思いますよ。
3. 楽しくないお金
最後に「楽しくないお金」というのは、義理人情や付き合いでイヤイヤ使ってるお金です。例えばですが、付き合いで一緒にやっている習い事の費用や、気のすすまない飲み会代など、思い当たるという人も多いのではないでしょうか。やはりお金は有限ですから、楽しくないことに使うのはもったいないと思います。誘われたからと毎回参加していると、「この人は断らない人だ」と思われて、また誘われることにもなります。断り方の技術を磨いておくことも、必要かもしれません。
一方、定年後の人生を考えたときに、一緒にいると前向きになれる人や元気をもらえる人との付き合いなどは、できれば長く続けていきたいですよね。
――以上、定年までに見直したい3つのお金についてでした。“備えあれば憂いなし”ですので、思い当たるという方は、ぜひ松崎さんのアドバイスを参考に支出の見直しをしてみてください。
教えてくれたのは……消費経済ジャーナリスト・松崎のり子さん
『レタスクラブ』『ESSE』など生活情報誌の副編集長として20年以上、マネー記事を担当。多くの貯蓄達人の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い癖にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。雑誌やwebを中心に消費者目線で情報を発信。著書に『定年後でもちゃっかり増えるお金術(講談社)』『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない(講談社)』など。