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Q. 暗号資産の積立投資は投資信託のように堅実に資産を増やせますか?

投資に関する疑問に専門家がお答えします。今回は、暗号資産の積立投資を考えている女性からの質問です。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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暗号資産

暗号資産の積立投資は投資信託のように堅実に資産を増やせる?

投資に関する疑問に専門家がお答えします。今回は、暗号資産(仮想通貨)の積立投資を考えている女性からの質問です。

Q. 暗号資産の積立投資は投資信託のように堅実に資産を増やせますか?

「暗号資産でも投資信託のように積立投資ができると聞き、ちょっと興味を持っています。暗号資産は投資信託のように堅実に資産を増やすことができるのでしょうか?」(40歳・女性)

A. 暗号資産を積み立てながらレンディングすれば、堅実に資産を増やせる可能性があるかもしれません

筆者は、暗号資産(仮想通貨)を積み立てながら「レンディング」すれば、堅実に資産を増やせる可能性があると考えています。

詳しい説明の前に、そもそもの話として「堅実に資産を増やせる投資先の共通点」について説明します。

堅実に資産を増やせる投資先には「プラスサムゲーム」という共通点があります。プラスサムというのは、参加者全員で儲けて「全員ハッピー!」が理論上可能なことを指します。

一般論として、競馬やパチンコ、宝くじといったギャンブルは「マイナスサムゲーム」です。これらのギャンブルには「勝つ人」と「負ける人」と「胴元(取引を仕切る人)」がいます。

このうち、もっとも着実に儲かるのは「胴元」です。一方、胴元にマージンを引かれているぶん、残りの参加者は「全体で負け越し」になります。似たようなものとして、FXなどの外貨取引もマイナスサムゲームと言われます。

これらのマイナスサムゲームでは、全員でハッピーになることはできません。ハッピーになるのは「胴元だけ」で、胴元以外は「全体で負け」になるからです。

一方、プラスサムゲームとなる投資先としては、「金貸し(債券投資や株式投資)」と「モノのレンタル(不動産投資など)」が挙げられます。

プラスサムゲームでは「胴元」だけでなく「投資家全体」も全員プラスになれる可能性があります。じっくり保有していれば金利や配当、分配金などを受け取って、収入を受け取れるからです。

では、仮想通貨の場合はどうでしょうか?

仮想通貨自体は「金券(法定通貨ではないけれど、同じように使えるもの)」のハイテク版みたいなもので、モノを買ったり売ったりすることには役立ちます。

しかし、仮想通貨を持っているだけで、債券投資や株式投資のように金利を受け取れることはありません。つまり、仮想通貨自体が収入を生み出すことはありません。

仮想通貨を買ったり売ったりすることは、金貸しというよりはFXのような通貨取引に近いです。通貨取引は「マイナスサムゲーム」なので、仮想通貨を持っているだけで堅実に資産を増やすのは難しいかもしれません。

価格変動だけが収入源となると勝ち組と負け組が生まれて、それでは「全員が儲ける」には不十分です。仮想通貨取引所(胴元)が儲けを総取りして、それ以外では「マイナスサムゲーム」となりそうです。

ご質問者さまが仮想通貨に詳しい方なら「ステーキングやレンディングがあるじゃないか」と感じたかもしれません。

ステーキングというのは仮想通貨を保有してブロックチェーン経済圏に貢献することで、報酬を得られる仕組みのことです。

ステーキングの仕組みについては、筆者は理解が浅いので何とも言えません。

ざっと調べてみた感じでは、株式投資や経済をかじった身からすると「貨幣をばらまいているだけなら、通貨価値の希薄化が起きるだけじゃないか?」と、儲かるかどうかは怪しいと疑っています。

つまり、ステーキングは「持っている仮想通貨の量が増えるから得して見えるけれど、実際は仮想通貨の価値が同じペースで薄れてしまってトントンになるのではないか(しかも税金を取られて実質マイナスかもしれない)」と感じるのです。

ステーキングの経済的恩恵については仮想通貨の種類によって違うかもしれないので、ご質問者さま自身で調べていただいて、自分で考えていただくのがよいかと思います。

ほかにも、仮想通貨にはレンディング……つまり「誰かに貸し出すこと」で金利を受け取る仕組みがあります。

レンディング自体はオーソドックスなお金の稼ぎ方で、昔から銀行がやっています。債券投資や株式投資を経験した筆者からみると、仮想通貨のレンディングは「値上がり狙い」よりも地に足がついていて、堅実に稼げる可能性も高そうに見えます。

◆  ◆  ◆

以上をまとめると、筆者の答えは「仮想通貨自体が収入を生むことはないから、仮想通貨を持っているだけで儲けるのは難しいと思う。しかし、仮想通貨を買って、それを誰かに貸し出して利息を受け取るのであれば、プラスサムゲームになりそうだ」です。

仮に筆者が「仮想通貨で儲けよう!」とするのであれば、レンディングに注目すると思います。

一方、レンディング自体は「ありきたり」な儲け方でもあります。

たとえば、いまであれば米国の短期国債を買えば「米国にお金を貸すだけで年5%の金利」を受け取ることができます。ほかにも、日本にはREITという不動産上場投信があって「持っているだけで年4~6%の分配金収入」を受け取ることができるものもあります。

仮想通貨にこだわらずとも資産を貸し出せば収入は作れます。さまざまな選択肢がありますから、仮想通貨だけではなく、ほかの投資先を比べてみながら「リスクが低い割に、利回りが高い」ところを探してみてはいかがでしょうか。
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