うっかりお金を浪費してしまう4つの罠
――買い物をしているとき、「3品買えば10%OFF」「あと○○円買えば送料無料」というのを目にすると「これはお得だ!」と思い、つい財布のひもが緩んでしまうのは、どうしてなのでしょうか。松崎さん:そうですね、こういった言葉を見ると「お得かも」「安いかも」と思ってつい買ってしまいますよね(笑)。実はこれが、消費者の心理をうまく突いた“罠”なのです。なかでも特に陥りやすい4つの罠がありますので、順にお話していきますね。
1. 「損したくない消費」の罠
まず1つ目が「損したくない消費」の罠です。これはどういう罠かというと、例えば「3品買えば10%OFF」というのを目にしたら、「2品だけ買うのは損じゃない?」と思って3品買ってしまうようなケースです。でもよく考えてみると、「300円のものを2品買った場合」と「300円のものを3品買って10%OFFになった場合」では、2品だけ買った方が安いですよね。損したくない消費の罠に陥らないようにするには、買い物カゴに入れる前に「財布からいくらお金を払うのか」を一度考えてみてください。
2. 「100円ならいいか消費」の罠
続いては「100円ならいいか消費」の罠です。この罠にハマる人は、結構多いのではないでしょうか。例えば、節約したくて100円ショップに行ったのに、安さに釣られてあれもこれもと買ってしまい、結果的にお金を使ってしまうパターンです。「100円」や「100円均一」というのは、消費者の思考を停止させてしまう魔法の金額です。買い物をする目的を“必要なものだから買う”のではなく、“100円だから買う”にすり替えてしまうのです。
本来、100円ショップは、衝動買いやついで買いを誘うようなビジネスモデルになっています。ですので、レジに行く前に、カゴの中の商品を数えてください。そうすると「100円だからいいや」と思って買ったものが、1000円を超していると分かった瞬間、きっと返しに行きますよね(笑)。
3. 「もったいない消費」の罠
3つ目は、「もったいない消費」の罠です。最近はスマホに連日、いろんな割引クーポンが届きますよね。そうすると「クーポンがあるから使わないともったいない」と思って、お店に行ってしまうことはありませんか。クーポンを無駄しないためにわざわざ消費をしに行くのが、もったいない消費の典型です。あくまでもこういったクーポンなどは、「お店に来て、買い物をしてね」と消費者を誘うものです。わざわざ来店して、お金を使ってくれるわけですから、得をするのはお店側だと思いませんか。少し発想を変えてみると、「わざわざ行く必要はないかも」と割り切れるのではないでしょうか。
4. 「無料だから消費」の罠
最後に気をつけたいのが「無料だから消費」の罠です。「無料」というのは、消費者を惑わず最強の“キラーワード”です。無料と聞くと「タダだから損しない」と思ってしまいやすいのです。「もったいない消費」の罠の場合であれば、買うことを思い止まれる人でも、「無料」と聞くとうっかりお金を使ってしまったりします。無料だから消費の罠を回避するには、「タダには絶対裏があると」思ってください。そうすると、無料の誘惑から逃げることができ、うっかりお金を使ってしまうことも減ると思います。
――ついお金を使ってしまう4つの消費の罠。いかがでしたでしょうか。こういった経験がよくあるという方はぜひ、松崎さんのアドバイスを参考にしてみてください!
教えてくれたのは……消費経済ジャーナリスト・松崎のり子さん
『レタスクラブ』『ESSE』など生活情報誌の副編集長として20年以上、マネー記事を担当。多くの貯蓄達人の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い癖にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。雑誌やwebを中心に消費者目線で情報を発信。著書に『定年後でもちゃっかり増えるお金術(講談社)』『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない(講談社)』など。