Q. 純金積立と金ETFの定期積立の違いについて教えてください
「純金積立と金ETFの定期積立の違いについて教えてください」(56歳・男性・岐阜県)純金積立と金ETFの違いとは
A. 大きな違いは3つあります。リスクの所在、裏付け、手数料です
純金積立と金ETF(金価格に連動する上場投資信託)の違いは多岐にわたりますが、特に筆者が「大きな違いだ」と感じるものを3つ共有します。1つ目の違いはリスクの所在です。純金積立と金ETFでは、仕組みが異なるぶん、運用上のリスクも異なります。
純金積立の場合、純金の保管会社が破綻した場合、資産が返ってこなくなる可能性があります(特に、評価額が1000万円を超える場合は注意が必要です)。
また、純金を手元に引き取った場合は、空き巣に入られたときなどに盗まれる可能性もあります。
一方、金ETFの場合は「分別管理」と呼ばれる方法で運用されているため、仮に運用会社が破綻したとしても資産は保全されます。その代わり、後述する「裏付け」の種類によっては、資産価値が大幅に落ち込む可能性があります(特に、リンク債が裏付けの場合は注意が必要です)。
2つ目の違いは裏付けです。純金積立では「純金」を買うのですが、金ETFでは「純金価格と連動する、何かしらの裏付けを持った資産」を買います。両方とも結果は同じに見えますが、仕組みが違います。
純金積立には「純金」という裏付けがあります。
一方、金ETFは、ETFによって裏付けの種類が違います。純金積立と同じように「純金」の裏付けがあるETFもあれば、金先物などの別の裏付けを持つETFもあります。
あるいは、金価格と連動する「リンク債」が裏付けである場合もあります。リンク債が裏付けの場合、リンク債の発行体の財務状況が悪化すると、価値が著しく損なわれる恐れもあるため、注意しましょう。
特に金ETFを買う場合は、目論見書などを詳しく読んで調べておきましょう。
3つ目の違いは手数料です。純金を買うと「購入時手数料」「年会費」「保管料」などの手数料がかかります。純金積立と金ETFでは、手数料の内訳が違います。
大まかな傾向として、純金積立では1~3%ていどの「購入時手数料」がかかるところが多いようです。「1~3%」と聞くと小さく見えますが、投資額に比例して大きくなっていきますから、バカにできません。
一方、金ETFでは購入時手数料は取引手数料くらいで済みますが、1年あたり0.2~0.4%くらいの委託手数料がかかります。
また、見えにくいコストとして「スプレッド」も違います。スプレッドというのは、同じタイミングに売り買いしたときの、購入時の金額と売却時の金額の差のことです。
たとえば、同じ業者から「いますぐ純金を買いたい!」「いますぐ純金を売りたい!」という人がいたとします。買いたい人が「1万100円」で買い、売りたい人が「1万円」で売ると、スプレッドは1万100円-1万円で「100円」となります。
スプレッドは購入時手数料みたいなものなので、純金を買うときには、なるべくスプレッドが小さな業者を選びたいところです。
料金形態からして、購入時手数料の比重が大きな純金積立は短期保有ほど不利になりやすいと言えます。一方、毎年かかる経費率の比重が大きな金ETFは長期保有ほど不利になりやすそうです。
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以上が、筆者が特に「重要だ」と感じた違いです。
ひとことで「金投資」といっても、やり方ひとつでリスクもリターンも変わります。ご質問者さまの目的に応じて、ベストな方法が選べるとよいですね。